門限は心のストッパー
あっという間に夏休みもあとわずか、開放的な気分になって羽目をはずしていませんか?最終週は特に気が緩みがち。一週間で、少しずつ、生活時間や整容を整えて新学期をスムーズにむかえたいですね。
おやごさんにこうした時期の家庭のルールについて質問されることがあります。大人は今日は休みだからと応用が利きますが、価値観を形成する時期のお子さんにいつもと違う概念が入ると、習慣が変わったり、考え方の軸がぶれてしまったりする怖れもあります。
まずは、朝、起きる時間、夕食の時間、夜寝る時間の3点を元に戻すところから始めるといいかもしれません。
先日、門限について、お子さんをお持ちのおやごさんに質問されることがありましたので、著書『女の子が幸せになる子育て』からその部分を紹介します。
「うちの子、今はかわいいけれど、もう少し大きくなって、急に悪くなったらどうしよう?」
「物騒なニュースを聞くとぞっとするけど、娘がそういった事件に巻き込まれないために親がしておくことって何?」
と、友人に聞かれることがあります。これまでの経験から、一つアドバイスをするとしたら、それは、「門限を設けること」です。
「まさかうちの子が」
「こんなことならもっと厳しくしておけばよかった」
これは、子供に押し切られ、遊び目的の夜間の外出、外泊を許していて、わが子が被害を受けたとき、親御さんが決まって使う言葉だそうです。
今の子供たちを取り巻いている環境は、親の世代とは違います。夜の繁華街は、大人と子供の間にボーダーラインがありません。子供の少ない経験値では、とても処理しきれないような問題があふれています。お子さんの持つ優しさや好奇心があだとなることもあります。女の子なら被害者になる危険度はさらに増すでしょう。
警察や他校との情報交換を通じて、知ったことがあります。それは、「ニュースになるのは氷山の一角。命にかかわるケースだけ」という事実。被害を受けても、本人の将来を考えて被害届けを出さないケースもあるそうです。
門限があった方は思い出してみてください。それはどんな存在でしたか? うっとうしく、わずらわしい、目の上のたんこぶのようなものではありませんでしたか。門限のない友だちがうらやましく、親を恨めしく思ったことはないでしょうか。
門限は、いわば「心のストッパー」です。
これがあることで、友だちと遊んでいて、いろいろな誘惑にかられたとしても、心のなかでブレーキがかかります。
「親に怒られるかなぁ」
「でも、たまにはいいか」
「やはり、心配するだろうなぁ」
などと葛藤が起こるかもしれません。
ある生徒は、友だちに外泊を誘われたときのことをこう言っていました。
「正直、私は外泊を悪いこととは思っていません。だけど、門限があるから気になって。親が心配するかなと思って」
時間を何時に設定するかは大きな問題ではありません。大切なのは、門限があるという事実。そして、それは、自分が家族の一員であり、信頼を裏切ってはいけないという、「心のストッパー」の役割を果たしてくれるのです。