⑱教科イチ押し【JICA地球ひろば】【国立国会図書館】
教科イチ押しの続き、引率の安藤からの報告です。
教科イチ押し施設見学会としてJICA地球ひろばに29名で行ってきました。
まず、個別の小ホールに案内され、モニターに映された資料に基づいて説明が始まりました。はじめに「JICA(独立法人国際協力機構)とは何か」から説明していただきました。 JICA(ジャイカ)は、日本が行う開発途上国支援・ODA(政府開発援助)にて、「技術効力」「有償資金協力」「無償資金協力」と呼ばれる事業を実施するところである、と説明を受けました。
生徒たちは、よく聞く「青年海外協力隊」イコールJICAと思っていたようで、発展途上国の援助には色々な形があることに驚いていました。
次に、JICAのスタッフの岡本美郷さんから「青年海外協力隊」の経験談を話していただきました。「協力隊」は、1965年に日本の青年による海外ボランティア事業として誕生しました。発展途上国に日本の青年を派遣し、その国々の人々の生活が良くなるように協力しようと始められました。協力隊はボランティア事業なので、自発的な参加が大切になります。日本政府は『海外で活動する隊員を支援する』ことになっていますが、国の委託を受けて、JICAが協力隊事業の運営を行っています。岡本美郷さんは、美術大学で布の染色を学びました。その技術を活かし、布の染色の技術を教えるためにカンボジアのコンポンチャムという町に派遣されました。
この町に派遣されて最初に驚いたことは、町の人たちが、自分の名前を書けない人が多い、水が濁っていて黄色く、その水で食器を洗っている、子供も働いている、等々。
生徒たちは、自分たちの生活とはまったく違う様子に動揺しながら真剣に聞き入っていました。
しかし、町の人たちは、とても優しく笑顔がすてきで、とても親日家。
日本人を見ると「あじのもと!」と声を掛けてくるそうです。味の素の調味料がカンボジアの食生活の中に根ざしているとか。岡本さんも最初は大学で学んだことが役に立たず、失敗の連続だったそうです。日本の代表であると言う意識で折れそうになった心を支えて猛勉強をし、カンボジアの植物を調べて染色にあったものを発見しました。そこから地元の人からの信頼を得ました。以降、順調に染色技術を教えることができたそうです。この経験から学んだことは、「何事もまずやってみる。続ける。最後までやる。そしてそのことを振り返って人に話してみる。」そこから信頼が生まれたそうです。
生徒たちはその大変なエピソードを聞いて、単なる成功談を聞くよりも数段ためになったと思います。
小ホールでの説明が終わり、JICA 地球ひろばの展示場を見学しました。展示場は世界の諸問題を項目別に展示してあります。内容は「貧困」「保健医療」「教育」「水」「紛争」「子ども」です。その諸問題を解決するために、現在取り組んでいることや今後の取り組みなども展示されていました。
生徒たちは、民族衣装を着て着心地を確かめたり、実物大の銃の重みを実感したり、1度に運ぶ水の量を体験しました。最後に岡本美郷さんから、「何かを学ぶことは、自分の生きる選択肢を増やすことに繋がるので、一生懸命学んでください。当たり前に思っていることがとてつもない幸せであることを考えてみてください。」とお話をいただきました。
JICA 地球ひろばの見学会は、今の日本がいかに幸せであるかを再認識でき、感謝する気持ちが沸いてきます。生徒たちも多くのことを感じたのではないでしょうか。
引き続き、引率の名小路からの報告です。
よく晴れた午前中、4・5年生と国立国会図書館に行きました。18歳以上から利用可能で、しかも図書館の書庫には通常は入場不可なので貴重な機会です。一般入り口ではなく、見学者専用の入り口で集合です。
まずは、図書館の模型をみて、全体像を把握しました。そして、以前のテレビ番組を視聴させていただきました。
納本制度によりすべての本等が集まってきて収集されている様子を視覚的に確認し、最古の資料が奈良時代のものだということがわかり、生徒達は驚いていたようです。全部で約4200万点の資料が保存されているそうで、規模の大きさがわかりますね。ちなみに、本校の図書室は4万6千点です。全ての資料を保存し、後世の人々が使えるようにする、という使命の大きさを感じました。
新館の地下8階から見学をしました。地下の方が温度の上下が少なく湿度も安定しているので、本の保存に適しているそうです。地下から唯一見られる太陽光がこちらです。
新聞は1888年のものを見せていただきましたが、そんなに古いものとはわからないぐらい保存状態が良好でした。書庫の中でも、担当の方からの説明があり、わかりやすく助かりました。
建物の端から廊下をみると、このような眺めになります。長い廊下ですね。
また、週刊少年マンガの創刊号のあたりの雑誌もみせていただき、時代によってその時代の流行の表紙になっていてとても興味深かったです。 最後に、事前にお送りしていた生徒からの職業インタビューにたくさん答えていただきました。国会図書館で勤務するためには採用試験があることや、国会図書館のお仕事が、司書業務だけではなく国会のための調査業務や一般事務があること等、詳しい内容を教えていただきました。
生徒のために、貴重なお時間を頂戴しました。国立国会図書館の方々、どうもありがとうございました。
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