2017年4月11日

特別講座「ブレーメンの調査隊」、「触れる地球」を使った特別講座

カテゴリー: 世界,社会 — 漆 @ 5:20 PM

今日は始業式でした。今年から私が理事長になり、中等部校長は兼務、高等部校長には仙田直人先生を迎えました。仙田校長をはじめ、新任教員を生徒達に紹介しました。生徒の未来につながるよう、新たな体制で益々充実した学校運営をしていきます。

さて、本校では、生徒の視野を社会に開くことを大切にしています。教員では教えられないような専門分野のことは、校外のみなさんのお力を借りて生徒に紹介しています。そのために大切な役割を担っているのが、外部講師と教員ボランティアが実施する特別講座です。昨年度末に行った特別講座の様子を二つ、お伝えします。

一つ目。ユニバーサルマナーの研修を毎年継続していただいているミライロさんと行ったバリアフリーの地図アプリ活用講座です。教頭の石井からご報告します。

平成29年2月25日(土)に、特別講座「ブレーメンの調査隊」が行われました。
講師は、株式会社ミライロ様で、本校生徒12名(2学年6名、3年生1名、5年生2名、6年生3名)が参加しました。
株式会社ミライロ様は、障害者にやさしい街作りを目的にして活動をされていて、毎年、本校の1年生全員にユニバーサルマナー研修をしていただいている会社でもあります。

「Bmaps」というアプリがあります。地図に様々なバリアフリー情報が入力されるアプリで、これをみれば、駅や建物やお店のバリアフリー情報がわかるしくみになっています。
「ブレーメンの調査隊」は、街を調査してBmapsに、バリアフリー情報を入力していくイベントです。今回、東京オリンピック・東京パラリンピックの協賛事業として認定され、その記念すべき第1回実施として、本校が選ばれたということで、大変光栄な特別授業でもありました。

13時30分に集合し、参加者が3チームに分かれ、自己紹介の後、Bmapsの入力方法を学び、2時~3時30分の時間、3チームに分かれて、北品川商店街を調査しました。実際に車倚子に乗ったり、高齢者体験装置(足が伸びなくなるようなギプスや、白いサングラスをかける)をつけて商店街を障害者の眼で調査しました。商店街の方々も、調査に快くご協力いただき、生徒達に励ましのお言葉をいただいたりしました。
学校に帰ってから、参加メンバー間で振り返りを行い終了となりました。
生徒達からは、車倚子は意外に視点が低いので見えている世界が違っていることに驚いたこと、高齢者の姿勢で歩くととてもつらいこと、白内障のサングラスをしていて、日光が当たるとまわりが真っ白になって何も見えなくなる等の多くの感想が出され、有意義な体験ができたようでした。
尚、参加者全員にオレンジ色のBmapsのTシャツが記念品としてプレゼントされました。

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二つ目は環境問題を考える特別講座です。担当した社会科の河合より報告します。私も参加しましたが、地球儀型の大きなプロジェクターで現在の地球の様子がライブで見られるので、世界課題が実感でき、まさにアクティブラーニングでした。
3月21日、22日の2日間にわたって、京都造形芸術大学教授の竹村真一先生、NPO法人Earth Literacy Programの長谷川哲也さま、菅野朝子さま、坂野泰生さまをお招きし、「世界初のデジタル地球儀『触れる地球』で見つめる世界の今」と題しまして、21日は4,5年生14人を対象に、22日は1年生36人を対象とした、特別講座を実施しました。
IMG_0354 今回の講座では、宇宙からの視点で、生きた地球をそのまま体感できるデジタル地球儀「触れる地球」を実際に使いながら、「環境」に関する内容を社会科、理科それぞれの視点から見つめました。
具体的に、まず21日に実施した4,5年生対象の講座では、竹村先生から『触れる地球』についてのレクチャーをしていただき、担当者の河合から、『触れる地球』を使いながら、エルニーニョ現象がインカ帝国の滅亡、イースター島への移住、第二次世界大戦下における独ソ戦、1972年に発生した汎地球的な食糧危機に大きな影響を与えているということ、つまり「世界史を理科の視点で見つめる」というプレゼンを展開いたしました。続いて、竹村先生および長谷川さまから「気象データの可視化によって分かること」を詳しく探っていただき、生徒が「現代の人類的課題」について考える機会を設けていただきました。
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また、22日に実施した1年生対象の講座では、竹村先生から『触れる地球』について「プランクトンを追いかけて北上する鯨」や「沖縄とアメリカを往復する鮪」、「リアルタイムでの海流や雲の動き」、「地球温暖化の未来予測」を見せながらレクチャーをしていただきました。その後、菅野さまから「日本のご飯が美味しいわけ」と題して、太平洋の海流と、インド洋・南シナ海からの水蒸気と日本食のつながりについてプレゼンを展開していただきました。その後、『触れる地球』そのものや、『触れる地球』を通して分かったことに対する疑問を共有し、それについて竹村先生からコメントをいただきました。
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IMG_0381 休憩時間には、『触れる地球』の周りを興味津々で受講者が取り囲み、噂を聞きつけた教員や卒業生も、講座の前後にやってきては『触れる地球』のレクチャーを受けていました。
この講座を通して、1年生からは、「日本食は地球食だ」という言葉が飛び出すなど、講座で触れられた内容に対するコメントも見られましたが、品女らしく「『触れる地球』のプレゼンテーターをやってみたい!」というコメントも寄せられました。一方で、4,5年生からは、「何気なしに『そういう出来事だったのだ』と覚えてきた歴史的史実の背景に、自然の力が左右していたなんて!」というように、教科の枠を超えて学ぶことで「複数の事象が絡み合っている」ことに驚きを覚えたというコメントが多く寄せられました。これらのコメントから、いずれの講座も、『触れる地球』を用いて様々な地球の表情を見ることで、日本を「地球目線」で再発見できる機会となったことは伺い知ることができます。
1学年団に所属する担当者として、1つの社会問題は、常に複数の原因が絡み合って起きていることに気づき、1つの方法で課題解決を図っただけでは、他の部分へのしわ寄せが起こり、別の課題を生むということに気づいてほしいという願いがありました。1年生で「地域を知る」と銘打って行われた総合学習・道徳を通して培った「地域を見つめる視点」をもとに、この講座を通して理解できたことを応用させて、2年生での「日本を知る」、3年生での「世界を知る」というそれぞれのテーマに、個々がつなげていってくれるものと思います。
また、地理が専門である担当者の願いとして、4,5年生には、単純に教科書を学ぶのではなく、深く掘り下げて考えるということを経験的に理解し、他の事象と有機的に結びつけることで、1つのテーマについて学術的・学際的に考えられる力を身につけてほしいという願いがありました。起業体験、Challenge Based Learningを通して培ってきた力を、受験生として、あるいは卒業後に向けて応用させていってくれるものと感じています。
最後に、『触れる地球』の運搬・貸出において、東京サラヤ株式会社様より、多大なるご支援をいただきました。感謝の記として、ここに紹介いたします。竹村先生、NPO法人ELPの皆様、ならびに東京サラヤ株式会社の皆様、ありがとうございました。
 今年度も様々な分野の講座で生徒の視野を開いて行けたらと思います。こうした機会に将来の夢ができて、進学、職業選択につながった生徒も多く出てきました。