大学出張授業①法政大学法学部法律学科
暑い日が続きます。今日明日は、デザイン思考の本場から講師が来日してのセミナーがあるので、教員数人と参加してきます。昨日、報告した一年生の宿泊行事の振り返りにもデザイン思考の手法が使われていました。ここ数年の実践で、だんだんとこの手法でワークショップを行える教員も増えてきて、その効果を実感しています。
一学期に行った大学出張授業の様子をシリーズでお伝えします。
今日は、法政大学法学部。担当の小川からの報告です。
法政大学法学部法律学科の森田章夫教授にお越しいただき、「国際法・国内法」についての出張授業をしていただきました。 時代は幕末に遡り、1853年に日本に黒船が来航したとき、日米和親条約、続いて日米修好通商条約ができました。 これは「不平等条約」と言われる条約でした。そして、幕末の留学生が日本からオランダへ行って学んだことで、「どうやら欧米は『法律』 というルールによって社会が成り立っているらしい」 と日本人がだんだんと気付き始めました。 ここで『万国海律全書』についてのDVDの映像を観ました。函館戦争で五稜郭に立てこもった旧幕府軍総裁の榎本武揚は、新政府軍の黒田清隆に降伏を迫られてこれを拒否し、 オランダ留学中に自ら翻訳した、海に関する国際法『 万国海律全書』を「これからの日本にとって役に立つはずだ。 これだけは戦火で焼かれてはならない」 と必死で黒田に託したそうです。 黒田はこれに感銘し、榎本は黒田の尽力によって命を救われて、後に明治政府に仕えました。 やがて箕作麟祥によって「国際法」という名前が付けられ、日本は不平等条約を押し付けられる「半文明国」ではなく、「 文明国」として主権国家への道を目指します。 今当たり前に使われている「国際」という言葉は、「inter national law」の訳語として作られた「国際法」から来ているのだと初めて知りました。 法律というと堅い冷たいイメージがありましたが、森田先生の「日本は国際法を遵守することによって、国際法に守られている」「 日本は国際法をしっかり守ることで戦後70年かけて世界でも尊敬 される国になった」というお言葉が印象に残りました。 「法の支配」という言葉は一見、圧力や不自由といったイメージがありますが、 しっかりとルールを守ることで初めて世界の国々と対等な立場に立 つことができるのだと聞いて法律のイメージが変わりました。 質問タイムでは、生徒から現在の国際情勢についての質問が出て、中国・韓国と国連海洋法条約のお話、 日本の捕鯨裁判のお話などを聞くことができました。 生徒達もニュースなどを観て現在の国際情勢について気になっていたようで、興味深そうに聴いていました。 森田先生、今回は貴重なお話をありがとうございました。