2019年3月31日

特別講座「どうする?!日本の人口減少~移民受け入れという選択肢」

Filed under: 世界 — 漆 @ 2:23 PM

特別講座の紹介です。

担当の湯田より以下報告です。

特別講座「どうする?!日本の人口減少~移民受け入れという選択肢」

元駐米大使の藤崎一郎先生の講演会に続き、10月27日に特別講座「どうする?!日本の人口減少~移民受け入れという選択肢」の一環として、日米文化教育交流会議(カルコン)の事務局長、伊藤実佐子先生にご講演いただきました。
雑誌「外交フォーラム」の立ち上げメンバーとして知られる伊藤先生。編集長を歴任された後には、ワシントンDC、ロサンゼルス、シンガポールと、各地で日本の外交に貢献されました。
今回は伊藤先生が所長をされていたジャパン・クリエイティブセンター時代のお写真も盛り込み、人気沸騰中の都市国家、シンガポールの多文化共生政策についてお話を伺いました。

ご講演の中では、シンガポールの多文化っぷりはもちろんのこと、シンガポール建国の背景や、外国人労働者の受け入れに至った経緯などもお話頂きました。
シンガポールの総人口のうち29%は外国人労働者なんだそうです。
これから外国人労働者の受け入れを大幅に拡大する方針を打ち出した我が国の参考になる、大変貴重な話でした。

講演終了後、生徒からは
「少しずつ問題を解決していくシンガポールは日本のお手本になるような国であると思った」
「シンガポール独自の文化がまだ十分確立されていないというのは驚きだった」
「外国人と接するときに、違いをみるのではなく、共通点を探すことでわかり合えるのだと思った」
等のコメントがありました。
講演には保護者の方々にもお越し頂きました。講演後は会場を閉めるまで、質問が続くほどの盛り上がりでございました。

伊藤先生、お忙しい中ありがとうございました!

元駐米大使の藤崎一郎先生、日米文化教育交流会議(カルコン)事務局長の伊藤実佐子先生と、日本の外交官の視点で外国の移民/多文化政策を見てきたこのシリーズ、11月13日には日本国内で多文化共生を軸に活動されている方をお招きしました。

多文化共生というと、日本にはない興味深い文化があふれて楽しいキラキラしたイメージを持ちがちですが、この日はその気持ちがピリっと引き締まるようなお話を伺いました。
NPO法人みんなのおうちの代表理事を務める小林普子さんは、外国にルーツのある子ども達のサポートを長年続けてらっしゃる方です。小林さんのNPOみんなのおうちでは、日本語や教科学習のサポート活動が行われています。
みんなのおうちに来る子ども達は、本人の意志で日本に来たわけではありません。友達も親戚も少なく、食べるものも違う、言葉も分からない日本で生活することを、余儀なくされるのです。また、「外国にルーツのある子ども達」と言っても、外国の両親のもと日本で生まれた外国籍のこどもや、日本国籍でも生まれたのは外国で日本語が話せない子など、背景も様々です。
今の日本の学校制度では、こういった外国にルーツのある子ども達に対するサポートは完璧ではありません。子ども達の保護者に対するサポートも整っていないことがほとんどです。家の中では靴は脱ぐ。学校では上履きをはく。その上履きは普通の靴とは違う。こういった「当たり前」があふれる日本で外国人の方が暮らすことの困難さは、私達の想像を絶するものだということを、小林さんのお話から痛感しました。

また、続く11月15日には、日本で暮らしてらっしゃる外国籍(アメリカ・インド)の2名の方にお越し頂き、「当事者の視点」として日本の外国人労働者の受け入れ拡大についてのご意見を伺いました。
アメリカ人のアダムさんからは、「今居る外国人はだいたい日本の事が大好きで、日本の文化を勉強した上で日本に移り住んできている。これから日本が受け入れる外国人は必ずしも日本のファンではあるわけではない。そうなれば、ルールやしきたり、文化に基づく慣習にあふれた日本での生活は厳しいものになる」とのお話がありました。小林さんとのお話と併せて、今後日本の外国人労働者受け入れに対する課題を考え直す機会になりました。