2019年3月2日

ニュージーランド修学旅行のはじまりは・・・

Filed under: オススメ,世界,行事 — 漆 @ 11:57 AM

28日からニュージーランド修学旅行が始まっています。私はこの旅行の企画準備からはじめ、第一回からずっと引率していましたが、今年は仙田校長がついて行っています。

ニュージーに場所を移したきっかけは実は、アメリカの9.11の事件でした。当時、イギリスで修学旅行を行っていましたが、安全性を考えて、この直後は急遽京都で行い、その後、適切な場所を探しました。

そして、たどり着いたのが、ニュージーランドでした。決めた理由は、多様性を大切にする国だったからです。ニュージーは世界で最初に女性参政権が生まれた国であり、当時、三権の長も首都の首長も女性でした。移民を奨励し、先住民の文化を大切にし、様々な文化が入り交じる国でした。(今ももちろん)

実際に始まってみると、交流校の教員が、「去年は私が産休を取ったから、今年は夫が育休を取っているの」と話していたり、ニュージーランド航空に女性パーサーを多くしてほしいと頼んだら、「それも差別なので出来ません」と断られたりと、多様性を大切にしていることを実感することがたくさんありました。

生徒達もステイ先で、キウイハズバンドと呼ばれるお父さん達が、家事を当たり前に分担している様子に接しています。

先日、生徒がCBL(家庭科の課題解決型授業)の研究で、家庭内での男女の役割分担についての研究発表をした班がありました。その中で、思わず笑ってしまったのは、注文住宅メーカーのCMを事例にした部分でした。このCMのコンセプトは「ママの家事を楽にする住まい」なのですが、子供に、「ちょっと待ってね」が口癖でいそがしく家事を行うママの横でのんびりソファーに座っているパパにあえて焦点をあててプレゼンをしていたのです。

このCMを作成した方々はまさか、このような切り口で注目されているとは夢にも思わないでしょう。この班は、このプレゼンをオーストラリアでも行い、さらに外部のコンテストで賞を取り、シンガポールでも実施することが決まっています。日本の「共働きでも女性が家事をして当たり前」という文化は先進諸国の中で特殊とも言え、そうした文化が女性活躍指数で世界114位という結果につながっているのかもしれません。この、生徒達は、保護者向けにこの課題について考える特別講座も実施し、「自分たちと同世代にこそ考えてほしい問題」とも語っていました。

人口減少社会に向かう日本は、一人一人が社会でも、家庭でも役割を果たして行かなくては回らない時代です。私達の学校はそうした時代に向けての女子教育をしていますが、将来のパートナーとなる男性にもまた教育が必要です。(生徒に、「先生、私達もうやる気十分ですから先生は男子校で教育をしてください」と言われたことがあります。)

政府は30%女性管理という目標を立て、様々な事業所でも女性活躍支援を始めていますが、このCMが「家を変える前に夫が変わったらいいのに」と女子高生に思われてしまうのと同様、妻も夫も働いているのに、子供の送り迎えも妻、熱を出したとき休んで看病するのも妻では、「職場の前に、本当は、夫に頼めればいいのに」というため息も聞こえてきます。

今日は午後からお父さんの会があります。こうして、娘の教育に積極的にかかわる品女のパパたちには、社会人として、また家庭人としての親の背中を見せてあげてほしいです。(料理教室もやっているくらいだから大丈夫ですね)

ロングステイになった話はまたの機会に。