20教科イチ押し授業(平安装束を着てみよう)
土曜日、中3の卒業証書授与式を終え、午後から鳥取へ出張し、月曜に帰ってきたら頭がクラクラ。2日酔いかしらん?と思っていたら、翌日も治らず。怖いので隣の病院で検査をしたら・・・
先生 「澤選手と同じですね」
ガ~ン!
「でも、今週もあれこれと予定があるんですが・・・」
先生 (やや呆れた感じで)「歳をとると、これまで出来ていたことができなくなるものなんですよ。予定は詰めて入れないでください」
卒業式のあとでよかった~。入学式までには気合いで治さねば。(もし、ふらついていても2日酔いではありません)
さて、教科イチ押し見学会、担当の江頭から報告です。
國學院大學図書館研究員の畠山大二郎先生をお招きして「平安装束」を実際に着てみるという講座を実施しました。
まず、事前課題として「枕草子」(第二百九十三段)と「紫式部日記」(寛弘七年正月十五日)を読み、便覧で作品の背景を確認してくるようにしました。
当日は、第一部の講義と第二部の着付けという形での講座です。第一部では、最初に日本人の衣服の変遷と衣装の果たしてきた役割などについてお話しを伺いました。
平安時代の貴族の衣装は、当時の平均気温が今よりも2~3度高い温暖期であったことから風通しを良くするために大型化したことや、大型化していることによって動きにくくなることが治安維持の役割を果たしていたことなど、単におしゃれだけではない衣服にまつわる様々な興味深いお話しを聞くことができました。つづいて、予習で読んできた作品に描かれている衣装について、それが意味することを細かく教えていただきました。
「裳や唐衣」は公務に携わる際に身につけるものなので、それを屏風に打ちかけて行くということはプライベートなリラックスした時間になったということを意味しています。また、当時は禁色という縛りがあったので、その禁色を許されている人とそうでない人が衣装によって分かるということや、濃い色はそれだけ多くの染料を必要とするので非常に高価であるため、衣装の色によってその人の意気込みや経済力が分かる、などなど、当時の人々の衣装をめぐるお話はつきませんでした。
講義の後、作法室にて実際の衣装を手に取り、男性装束2人、女性装束2人の着付けをしながら、日本の衣装は西洋の装束と異なり、着ることによって完成していくということを身を以て知ることが出来ました。
生地の柄が織りで作られていることも、色の付いた生地を重ねることで白地の衣装がほんのりとした色合いを生むことも、生地の重ね方で全く印象が異なった衣装となることもよく分かりました。
最後に、生徒の感想をご紹介します。
*「紫式部日記」や「枕草子」のお話しもとても面白くて興味深かったです。(中略)「紫式部日記」の方も、それぞれどんな着物を着ていたかということが書かれた文から、性格や身分が分かってしまうなんてすごいなと思いました。
*一番衝撃だったことは、唐衣裳は当時それほど重くなかったということです。「十二単は○○キロもあるから当時の人は動くのが大変だったんだね」という話を今まで何度か目にしていたので、あれは嘘だったのかと思うと世間の人のほとんどは本当のことは知らないのかなと思いました。(中略)古典で装束が出てきたとき、想像しながら意識して読んでみようと思います。
*時代の変化を衣装という視点で捉えたことはなかったので驚くことが多かったです。(中略)着付けでは、普段古文で読むだけのものが実際に手で触れることができて感動しました。きれいな模様の数々が刺繍ではなくて、すべて色が異なる色で織って出来ていると聞いて、ものすごく手間がかかっているんだなと思いました。
*平安装束を着るという貴重な体験をさせていただき、とても感激しました。(中略)講義で着物は着付けをしないと「服」にならない。着ることによって自分の体も一部になって完成するというお話しを聞きましたが、座り方や動き方でも着物の形が変わってくるので、とても納得しました。
*日本の着物が世界最古の衣服のうちの一つであることに驚きました。また西洋の服の歴史はまだまだ浅いと言うことにも驚きました。(中略)私は将来大学で民俗学など文化の研究をしたいと思っています。今回の体験をとても貴重な体験になりました。やっぱり日本の文化はすばらしいです。
*「禁色」について、色だけではないことを知り、身分社会はここからなのか・・・と思ったりしました。
畠山先生、本当に貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。