2018年9月29日

文化祭高等部 起業体験プログラム

Filed under: 社会,行事 — 漆 @ 5:56 PM

<写真>今朝から募金が始まっています。

災害続きの日本ですが、また台風が近づいていて心配です。明日は、宿場町のパレードも予定されていますし。月曜は都民の日で学校はお休みですが、私はうっかりしていて人に言われて気づきました。若い頃、よく新入生に「他県の人は授業があります」などと言っていたバチが当たるところでした。

さて、文化祭高等部の写真です。高等部は各クラスが社会課題を解決するテーマで起業体験をします。今年は、フードロスをテーマにしたクラスが複数あったのが印象的でした。

品女初の八百屋さんをやったくらす、献血ブースを作ったクラス、新しいチャレンジがありましたが、天候に恵まれそれぞれ好調でした。ご協力いただいたみなさま、お客様、ありがとうございました。

 

起業体験表彰の講評です。

今年度は、興味深いチャレンジをしたクラスもありましたが、最終的には上位のクラスに広報力、企画実行力、業績力の各部門上位が集中する結果となりました。そこで、総合1位から3位までのクラスをそのまま表彰し、1位のクラスを最優秀賞と致します。ただ、起業体験プログラムの評価の枠組みを超えて、新しい評価項目を生み出すとまでは認定できませんでしたが、今後の起業体験プログラムの一つの可能性を示したものとして、特別賞も出すことに致しました。

まず、特別賞から発表します。

特別賞は、5年Bクラスです。

献血という、難しいテーマを実行に移して、やり遂げたことに敬意を表します。利益を追求してジャムの販売に力を入れてしまいがちになるところを踏みとどまって、社会貢献とビジネスの両立という、世界のソーシャルビジネスの流れを具現化した内容は本当に素晴らしいと思います。献血の目標数を達成した点も、企業体験プログラムの直接的な評価項目ではありませんが、社会的には大いに貢献できたと思います。

若い方(高校生)がどれだけ今回献血をしたかは不明ですが、今回は自分のクラスやクラブの出し物のため献血する時間がなかった生徒達も、これを契機に献血が身近に感じたかと思いますので、「16歳からできる医療貢献」のアピールはできたと思います。

その一方で、社会貢献と収益事業の両立が難しいことも学べたのではないでしょうか。

次に、総合第3位は、4年Bクラスです。

捨てられている野菜を上手く活用した商品で、企業理念を商品という見える形に上手く表せていたと思います。フードロス解消に貢献し保存性もよく、省スペースで調理法の幅が広がる商品を選んだところが、成功の第一歩だったと言えるでしょう。また、パームガーデンによって消費者に野菜生産を体験させることで、消費者に生産者の視点、野菜に対する愛情を持たせるという発想も素晴らしいと思います。

また、他社にくらべて、より積極的かつ広範に一次データを収集していたことも高く評価できます。廃棄野菜について生産者である農家と消費者である家庭の両方の視点から調査し、数多くの取材をした結果をうまく展示にまとめていたと思います。

そして、商品完売後も来場者に対してレシピを配り、丁寧に説明をしていた様子は、クラス全員が企業理念をしっかりと認識してプログラムに臨んだことを物語っていたと思われます。

次に、総合第2位、5年Dクラスです。

規格外野菜を実際に手に取ってみて、通常の野菜とあまり変わらないと実感してもらえたいい機会だったと思います。規格外の生野菜を販売し、野菜を使ってのワークショップを展開するなど、とても直接的でわかりやすい事業でした。

ただ、ワークショップの回転率が上がりきらず、売れ残ってしまいましたが、損益分岐を超えた努力は素晴らしいとおもいます。

1日目の反省からレイアウトを変更し、来客数を145人から233人に倍増させたのは大変評価できます。企業活動において、現場を分析し改善することの重要性を実感できたことと思います。

上映していた短編映画は、ユーモアもあり思わず見入ってしまいました。面白いアイディアで見る人に良く企業理念が伝わっていたと思います。また、全員で行った「リボベジ」は、社員全体につよい問題意識が共有されていたことの証明だと思います。

企業理念にかかわる展示もよく調べていましたが、「ベジブロス」の作り方などは印刷して配布すれば、お客様が家で実践できてよかったのではと思いました。

最後に、総合第1位は、5年Aクラスです。

体験型アクティビティという新しい試みに挑戦し、事前の準備から当日の運営まで、しっかりと企画を実行できた点が良かったと思います。業績の面でも、体験型アクティビティであり物の仕入がないことから、ROE88%という非常に高い数値を出せたことがビジネスとして素晴らしかったと思います。小学生への配慮、「覗き穴」の設置、予約制の採用などの細かい工夫を行い、運営面での工夫も素晴らしかったと思います。

ただ、直接的コミュニケーションの大切さを伝えるという企業理念を実現するために、もう少し強制的にでもグループ内で相談したり話し合ったりしなければいけないタイプのクイズや体験が加わると更に良かったと思います。また、300円を支払ってこのアクティビティを体験したいと思わせるようなPRが、もう少しあってもよかったと思います。

いずれにしても、リハーサルを重ねて、独自のビジネスモデルを成功させたことは大きな業績で、最優秀賞にふさわしいものでした。

賞に入らなかったクラスも、それぞれに工夫して、よく努力していたと思います。4年生はこの経験を活かし、来年はより一層の挑戦をしてください。また、5年生はこの経験を様々な場面で活かし、挑戦を続けてほしいと思います。