2018年9月7日

大学出張授業②【立教大学法学部】

Filed under: 授業・学習・進学 — 漆 @ 8:28 PM

大学出張授業の続きです。担当の小藤からの報告です。

7月18日に4年生と5年生は校内で大学出張授業を受けました。
立教大学法学部の神吉知郁子先生に「女子こそ法学!これだけの理由」という授業をしていただきました。

法律には「人を縛るもの」「自分達には関係ないもの」「つまらなそう」というイメージがある人も多いかもしれません。

しかし、法律とは「人を縛るものではなく、人を守るものである」というテーマでの講義でした。

具体例として過労という問題が挙げられました。
現代社会では過労や職場のストレスから精神疾患にかかることが多く、精神疾患の労災支給件数は右肩上がりで増加しているそうです。
昨年は全国で少なくとも約2200人が仕事が理由で過労死、自殺に至っているそうです。

生徒たちも、大学生になったらアルバイトをする人も多くなると思います。
しかし、大学生が労働のルールを知ってアルバイトをしているかというと、労働法など知らずにアルバイトをしている人が大半です。
学生バイトでも、たとえば準備や片付けの時間に賃金が支払われなかったり、少しでもミスがあった商品は全て自分の買い取りになったり、休憩がとれなかったり、そうしたバイトのトラブルが実際に多くあるそうです。
もし自分がそのような状況に直面したら、どうしたらいいと思う?という問いかけに、生徒の顔つきも真剣になりました。

法律には堅いイメージがあるけれど、じつは硬直的なものではないそうです。国会で法案の審議が行われ、毎年150ほどの新しい法案が成立しています。

しかし、日本に今ある法律の数は実は1800ほど。意外と少ないのです。
なぜかというと、新しい法律が次々に生まれているわけではなく、既にある法律が頻繁に改正されているということです。
つまり、いま使われている法律も絶対に正しいものではなく、これから変わる可能も大いにあるのです。
2018年6月には「働き方改革法案」による7つの法律が改正しました。

また、法律は解釈する人の考え方、解釈の仕方によって変わるそうです。
たとえば、今の日本では法律について議論する場に女性が少ないため、これでは男性にとって有利なルールばかりが社会でまかり通ることになります。

神吉先生は、今現在、会社で同一労働同一賃金が行われていないこと、解雇に対する補償をお金で解決する方法、最低賃金の値上げなどの課題に取り組んでいらっしゃるそうです。

社会問題において、法律だけが人や社会を実際に変えることができるパワーを持っている、という言葉には、社会を変えようとする先生の熱意が込もっていました。
とても密度の濃い授業で、生徒も法律を自分の生活に関わるものとして、社会問題を変える力のあるものとして実感できたのではないでしょうか。

授業の後に生徒が書いた感想です。
「法学部に進んでいろいろな法律を学んで、自分に関わる法律を学び自分の暮らしを自分で守りたいと思いました。
バイトなど様々な生活のトラブルも自分が法律を理解していれば知らないよりも冷静に対処できると思います。
色々な社会問題も法学から見直して考えてみたいです。

法律を知っていれば筋が通った申し入れができる。」

「法学だと弁護士とか、そういう方向しか考えがなかったのですが、労働問題にも興味が湧きました。楽しかったです。
海外の人はすごく楽しそうに見えるのに日本人は仕事というイメージがとても強いです。
仕事をするために生きているように見えるので、生産性があがって余暇が増えるといいなと思いました。
ストレスを言い出せない環境や生産性の低さは日本人の考え方、特徴によるもののようなので、解決するためには一つの学問だけではなく、違う学問も必要だと分かりました。」

今回の授業を通じて、法律や法学を自分の生活が関わる学問として、また進路の選択肢の一つとして、身近に感じられたようです。
神吉先生、ありがとうございました。