2011/1/26 水曜日

⑬教科イチオシ見学会【宮内庁書陵部】

カテゴリー: 28プロジェクト:社会 — 漆 @ 15:44:12

昨日は合唱祭でした。30回という区切りでもあり、涙あり、笑いありで盛り上がりました。

ご家族の方も大勢お越しくださり、保護者席からあふれるくらいでした。

報告は写真を整理して後日。

さて、イチ押し続き。担当の江頭から報告です。

宮内庁書陵部の見学会には4年生6名、5年生13名の合計19名が参加しました。

最初に北桔橋門を入ってすぐのかつて大奥があったという辺りで、担当の方が現在のお仕事に就かれた経緯や、書陵部のお仕事についてなどのお話をして下さいました。
続いて、書陵部の建物の中に入っての見学会です。荷物は全て所定の位置に置き、筆記用具も用意された鉛筆のみと指定され、生徒達は最初とても緊張した様子でした。
展示室に入ると、展示ケースの中に貴重な展示物が用意してあり、まずは和書の種類と資料の扱い方の注意を受けました。歴史的に貴重な和本を扱う際は、手を洗うのはもちろん、マニキュアや指輪もつけてはいけない、シャープペンシルは芯が飛ぶ恐れがあるので使用してはいけない、などの厳しい決まりがあるそうです。展示品は、本校生徒のために図書調査室の方がわざわざ特別に高校生にも興味が持てるようなものを選んで下さっていました。解体新書、古今和歌集、伊勢物語、枕草子、源氏物語、伊曽保物語等々、日本史や国語の時間に見聞きした作品が中心です。その上、資料の中でも生徒が興味を持ちそうな箇所を開いてご用意下さっていました。いずれも歴史的に貴重な品であることは言うまでもありません。生徒達は事前にある程度調べて見学に臨んでいたものの、やはり現物を見ながら詳しい説明を伺ううちにどんどん興味を惹かれたようで、盛んに質問をしていました。
そうした質問に答える形で、担当の方が熱心に説明して下さり、本当に多くのことを学ぶことができました。散らし書きで書かれた後花園院の御宸筆では散らし書きの決まり事について、また、後桜町天皇の御懐紙の掛け軸では、天皇の和歌懐紙には署名が無いが筆跡でわかるということ、女性は色のついた懐紙を使うこと、枕草子では現在残っているものの多くで冒頭部分が失われていること、信長の朱印状では「天下布武」の印には数種類あったこと、などといった具合です。
坂本龍馬が木戸孝允(桂小五郎)あてに寺田屋事件について報告している手紙では拳銃のことを「ビストール」と書いてあるのがはっきり見え、まだ当時は「ピストル」という表記が定まっていなかったことなども教えていただきました。坂本龍馬の手紙は、木戸家から宮中に寄贈されたものだそうです。
他にも、巻子本、折本、粘葉装、列帖装、袋綴、結び綴など和本にも様々な種類のものがあり、歴史的に使いやすいように変わってきたことをお教えいただいた上で、実際に和本(複製)を手にとって開かせていただくこともできました。
学校の授業では決して知ることのできないことを知り、実際に資料を目にすることで、生徒達の興味がかき立てられていることがよく伝わって来ました。残念ながら、資料保護の観点から見学の様子を写真に撮ることはできませんでしたが、今回の見学会で歴史的な資料に触れた経験によって日本文化の奥深さの一端を知ることができたと思います。