釜石の週末
今朝の登校時間です。昨日の大雨がうそのように晴れ渡り、あたたかな一日でした。 |
週末は、釜石に行きました。釜石高校で授業をし、ラグビー場の花壇の整備などもお手伝いさせていただきました。震災後継続して、地元の方と協力し、復興サポートを継続しているUBS銀行のみなさんとご一緒させていただきました。
被災した旅館を再興し、地元の復興をリードしているアントレプレナーシップあふれる女将さんのお話も聞くことができました。自分が大変なときに、人のために力を尽くす。いつも前向きな明るさを忘れない。生徒に聞かせたいお話でした。
この地域は、震災で千人以上の方が亡くなりました。津波の避難所ではない施設に「防災センター」という名前がついていたことで、その中で多くの命が失われ、一方、学校でそれまでに行われていた防災教育により、子供たちは各々判断をし、自分の命を守る行動ができました。
「いのちをつなぐ未来館」では、当時、小学生だった女性が実際に経験した話をしてくれました。避難所生活の実際がどのようなものだったのか、再現した施設を見て、話しを伺い、言葉を失いました。以前、ある方から、「避難所に切り分けられる食品を送ったら人数分に少し足りないので個包装でないと分けられないと戻されてしまった」という話を聞いたことがあります。しかし、体験者から状況を直に聞くと、送る側の共感力、想像力の必要性を強く感じました。
津波から命を守る避難三原則というものが掲げてありました。これは、津波に限らず、また、避難に限らず、様々な場面での自主的な判断につながる教訓です。
1、想定にとらわれるな
2、その状況下において最善を尽くせ
3、率先避難者たれ
未来館にある10のメッセージは涙を禁じえませんでした。いくつかをご紹介します。
「100回逃げて、100回来なくても101回目も必ず逃げてください。」
「あなたが率先して逃げれば多くの人の非難を促し命を救うことになるでしょう」
「家族を信じてみんなが「命てんでこ」で逃げてください。命は自分で守るしかないのです。」
「もし、大切な人の命を守れなくても決して自分を責めないでください」
「やがて平穏な日常が戻ったときあなたはきっと気づくでしょう、自分は決して一人ではないことを 多くの人に支えられて生きていることを」
「未来の誰かが同じ思いをしないように今、あなたにできること・・・」として、市民憲章の言葉につづいていました。
市民憲章には、「備える、逃げる、戻らない、語り継ぐ」という言葉が掲げられています。
次の人が同じ思いをしないために「語り継ぐ」。こころに響きました。実は、この直前に、福島にいる義母が亡くなり、葬儀に参列しました。福島は原発の問題が加わり、いまだ復興半ばの地域も少なくありません。人が集まればその話が出る一方、体験を語り継ぐ人が少しずついなくなっていくことも実感します。
私たちの学校は、関東大震災のとき、女性たちが力を合わせて設営した避難所がプラットフォームとなり、多くの方の力が集まったことをきっかけに創立された学校です。
参政権もない、今と比べものにならないくらい弱い立場にあった女性達が、希望を失わず、前に向かって一歩を踏み出し、周りの人を巻き込んでいった。それがこの学校の成り立ちです。それから90年以上、この思いを語りつぐため、どんな困難なときも灯を途絶えさすことなく、大切に引き継いできました。
ここに縁あって集う私たちには、特別な役割がある。そうした思いを新たにする週末でした。参加するきっかけを作ってくださったUBS銀行の方々と、受け入れてくださった地元のみなさまに深く感謝し、この思いを卒業生、生徒の皆さんにシェアさせていただきます。
*7日土曜には、白薔薇たちの集まる会もあります。私も出席します。