2013/1/31 木曜日

入試前後にしておくこと、してはいけないこと

カテゴリー: 受験生 — 漆 @ 16:37:49

明日からいよいよ本校も入学試験が始まります。

在校生は明日からの家庭学習期間、普段、授業の予習復習と並行してはやりにくい集中学習にとりくんでください。

高3は私大の入試が本格的に始まります。「想定外のことは起こるもの」と想定しておくと、不思議と落ち着きます。想定していないことが起きればだれでもびっくりします。瞑想の修行をした僧でも大きな音が鳴ると脳波が乱れるそうです。しかし、元に戻る時間がはやい。心の乱れる時間を短く切り上げることさえできればいいのです。スポーツも入試も本番の緊張は同じ。9月の始業式からのブログを参考にしてください。

明日は、受験生の皆さんが落ち着いて実力を発揮できるよう、今日は教職員、在校生みんなで入試準備をしました。

さて、長年、学校側から中学入試を見てきて、受験生の親御さんにお伝えした方がいいと思うことを昨年まとめました。それをもう一度、掲載します。

受験期間中、お父さん、お母さんの一番の仕事は、「笑顔でいること」と「余計な事を言わないこと」。 ここから大切なのは、お子さんが「元気に機嫌よく」受験できる環境を作ってあげることです。

親の心配顔は子供を不安にさせます。今からあれこれとクドクド言っても頭には残らずイライラさせたり、不安にさせたりするだけです。子供の前で大人が言い合いをすることもNGです。

いつもの精神状態とは違います。お子さんをよく見て、お子さんの呼吸に合わせてあげてください。

妙におしゃべりになっているようなら、浮かれているのではなく、緊張をほぐそうとしているのかも。「何をのんきな!あなたの受験でしょ!」と、叱らずにつきあってください。

おし黙っているときは、無理に何か聞き出そうとせず、静かに笑顔を向け、話したければ話せるようにリラックスできる雰囲気をつくってください。

子供に聞くと、モチベーションが上がることのトップは「終わった後にいいことがあるとき」です。合格したら・・・と明るいビジョンを持たせてあげてください。そして、もし結果が思うようにならなくても、あなたのことが大好きだから大丈夫、と安心させてあげてください。

そして、親の方も少しでも気持ちと時間の余裕が持てるよう、受験期間のシミュレーションをもう一度しておきます。(例えば「ネット発表はホームページがダウンすることもあるかも」など、あらゆることを考えておきます)

さて、そのシミュレーションですが、小さなことから大きなことまで箇条書きにしてみます。(本校に限らずよくあることを書いておきます。書いているうちにあれもこれもになってしまいました。これならもう少し早くアップしておけばよかったです。ごめんなさい)

子供とシミュレーションするときは未来の楽しい話を。そして、親は最悪のシミュレーションをしておくことがこの時期を落ち着いて乗り切ることに繋がります。

・持ち物は学校ごとにチェック表で確認。書類は取り違えないように学校毎にファイルしておく。

・体調不良に備え、マスク、鼻血対応のティッシュ、エチケット袋も持っておく(本校では教室に用意してあります)

・着る物は着やすくて温度調節ができるものを。(保護者室が寒い学校もあるので、親御さんも備えて)

・前日は消化のいい物を早めに食べて寝る。(寝られなければ「それが普通。みんなそうだから大丈夫」)。朝、食べられなければおむすび持参でも。とりあえず、試験中、空腹にならなければOK。

・移動時間はもう一度シミュレーション。土日はダイヤが違うことも。万が一に備えて他の路線があれば見ておく。

・受験校の電話番号は控えておく。もしものときはまず連絡を。

・テストの後、結果は聞かない。結果で叱らない。(本人が一番感じています)ただ、理社の時事問題はその年の傾向があるのでチェックした方がいいかも。そのとき、ケアレスに気づいてがくっとしたら、「次はどうしたらいい?うん。それなら次は大丈夫」とよいイメージに変えてあげて。ただし、それもあまり疲れているようなら終わったことには触れずに、リラックスさせることを優先に。

・学校によって過去問の傾向が違うときは、次の学校への切り替えを。(句読点の数え方が違うことも。慌てて時間切れにならないように時間配分のシミュレーションなどもしておく。満点は取らなくていい、合格点をとればいいので。)

・併願校で最後まで迷ったら、とりあえず出願だけダブルでする方法も。偏差値だけでなく定員、倍率も見る。(受験料はもったいないが、どういう心理状況になるか分からないので、それに助けられることも。本校の場合は当日出願可)

・得点開示があれば利用する。現実を見て臨機応変の対応を。その際も、お子さんの未来から逆算し、大きい問題と小さい問題を分け、軸はぶらさずに。

・併願パターンに合わせて合格後の手続きまでを事前に一覧に。学校は期限には厳密。気が抜けてうっかりしないように。

・受験番号は他人に言わない。受験校の同じ親しい友人との行動もどこまで一緒にするか事前に考えておく。(合否が別れたときが辛いので)

・第二志望以降は数字をつけず、どこが好きかを話題にしておく。公立の悪口も言わない。

・不合格になった学校の悪口を言わない(あきらめたころ繰り上げがくる学校もありますし、手に入らなかったものを否定する概念が入ると、責任感や向上心がなくなります)

・合格した学校に「あなたを認めてくれた」という言葉を使わない。(選んで受けてくれた受験生を認めていない学校はありません。合否は本人のとった点数の結果です。逆の場合に否定された気持ちになってしまいます。)

・万が一の場合を考え、親類縁者、人手を確保しておく。手の抜けるところは抜けるよう、自分でなくてもできること、他の人に手伝ってもらえることがあれば頼んでおく。(一段落してからでも大人同士のフォローはできます)

・何かあっても親は慌てた顔をしないで。お子さんが落ち着いて受験できることを最優先に。

・自分自身の精神状態を安定させるため、入試期間中の息抜きの時間や場所(お茶の時間、好きなスイーツ、部屋に飾る花、待っている間に読む楽しい本、愚痴を言える人等々)も確保しておく。(お母さんが泣いて子供が慰める場面を何度も見ました)

・下の子のケアを疎かにしない。(「お姉ちゃんは受験だから仕方ない」が通用しない年齢もあります。)

・未来を犠牲にしない。(受験はとても大変で大きな出来事ですが、お子さんの長い人生から見たら一時のことです。未来を見たとき受験より大切な価値観は見失わないように)

・複数の学校に受かって迷ったら、他人の評価や動く数字でなく価値観を優先して。最後は子供自身に決めさせる(入学後、思い通りにならないことは必ずあります。そのとき、乗り越えられる子は自分で選んできた子です。)

最後に。

学校の価値は、他人の評価が「いい」「悪い」ではなく、その子に「合う」「合わない」で決まります。

これまで頑張った、そして、入学することになった学校が一番縁のある「合う学校」なのです。

これは30年近く多くの受験生の「その後」を見て来た私が確信していることです。

そして、どんな結果が出たとしても、これまで受験勉強したその過程で得たものは決して消えません。それは必ずお子さんの未来の財産になります。

試験が終わったら、どうか笑顔で、これまで頑張ったお子さんとご自分自身をねぎらってあげてください。

*校長日記は入試、合格発表が一段落するまでお休みします。

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