2012/2/7 火曜日

入試を終えて

カテゴリー: 受験生 — 漆 @ 13:00:12

昨日、最後の合格発表で学校にくると、校長室の机上に「決戦の2月」という文章が置いてありました。理事長です。

藤原正彦さんの『管見妄語』でした。

「2月1日が近づいてくると心が重くなる。」から始まるエッセイで、お子さんたちの受験の悲喜こもごものエピソードが書かれています。

ユーモラスに。しかし、子供の受験を経験した人だからこその思いがこめられていました。

後半にこうありました。

「小学校から大学まで合格不合格をくり返したが、三男が25歳になった今、すべては子育て中の一エピソードだ。入試結果より本人のやる気や根性の方が人生にとってはるかに大切なことが分かっている。」

「結果」がどうあっても、そこまで家族で一つの目標に向かって頑張ってきた、その「過程」が消えることはありません。

得た物を数え、少し未来に視点を動かして今を見ると違った景色が見えてくるはずです。

「私学の価値はプライスレス」と語っている私ですが、中、高と私学には合格せず、学区域の公立に通いました。

あのときがあって今がある。

報われない思いも、惨めな気持ちも、無気力なときも、何の意味があるかも分からなかった一つ一つの出来事が、未来から振り返ったとき、なくてはならない経験になっている。

それが一本の道に繋がっている。

自分の体験から、そして、多くの卒業生の受験のその後を見続けて、心からそう思えるようになりました。

昨年の干支は「辛卯」。未開の地を開拓するような困難を乗り越えなくてはならない年だそうです。

そして今年は「壬辰」。昨年、努力した分のエネルギーが膨らみ、人知を超える自然の勢いに乗って物事が進む年です。
 
その区切りとなる節分を経て立春を迎えた今、頑張った一人ひとりのみなさんに、暖かな春がやってくることを祈っています。