芸術鑑賞 歌舞伎
昨日は、芸術鑑賞で新橋演舞場に行っていました。
演目は「十二夜」。シェイクスピアの喜劇を原作に、蜷川幸雄が演出した作品です。今年3月にロンドン公演で好評を博しての凱旋公演です。歌舞伎初心者にも分かりやすく、楽しめる作品を選びました。 |
全校生徒が劇場に入るので、一般のお客様はきっと驚かれたでしょう。開演前は眉をひそめている方もいらして、せっかく観劇にいらしたのに、こんなに大勢の子供たちと一緒ではと、申し訳ないような気持ちになりました。それでも、いったん舞台が始まるとシーンとなるのが本校の生徒のいいところです。そして、ウケるべきところはしっかりウケています。歌舞伎は時間が長いですが、最後まで楽しめたようです。舞台が鏡で構成されているのですが、そこに拍手をしている生徒達の様子が映っていました。
終わると、後ろにいた教員に、「先生、面白かった!」と言っている中学生がいます。きっと、歌舞伎は初めてだったのでしょう。よかったね。 |
劇場から出てきます。寄り道しないで帰ってね。
帰り道、生徒に 「一人二役って、みんな分かってたかな?」 と聞いたら、 「はい。私、音楽の授業で事前に説明聞いてましたから。周りの子も、早変わりのとき、おぉ!って言ってましたから、たぶん大丈夫です」 そして、また他の子に、 「親子で共演してるのは知ってた?」 と聞いたら、 「はい。菊五郎と菊之助ですよね。私、(これ見るの)2回目ですから。おばあちゃんと一緒に月一回くらい歌舞伎にくるので、今はイヤホンガイドなしでも分かるようになりました」 (おそれ入りました。私はイヤホンガイド借りました。) 歌舞伎に連れてきてくれるおばあさまがいるって幸せですね。そして、一緒に歌舞伎を楽しんでくれる孫がいるおばあさまも。 |
昔話になりますが、芸術鑑賞で猿之助のスーパー歌舞伎を見たとき、生徒達が書いた感想文がきっかけで、猿之助さんが笑也さんと右近さんを連れて学校までいらして、講演をしてくださったことがありました。
そして、それがきっかけで卒業後、演劇を専攻したり、能の研究をしたり、中には女性だけの浄瑠璃の世界に進んだ子もいました。先日、当時の卒業生と話していたら、歌舞伎の様式美を知ったことが、デザインの世界に進んだ今、活きていると言っていました。
歌舞伎はこれが最初で最後という子もいるでしょう。(「途中で爆睡しちゃった」と言っている子もいましたからね)それはそれでいいと思います。
どの体験がどの子の心にスイッチを入れるかは分かりません。本校で過ごす六年間、感性の豊かな中高時代に様々な体験の場を用意し、未来に咲く花の種をまく手伝いができればと願っています。