来年の成人式の着物を用意するなら
昨夜は早稲田大学のビジネススクールでお話をしてきました。教職員用のエレベーターで知人にばったり!(特別講座などでお世話になっている方で早稲田の教授もなさっている方)そして、講演終了後、名刺交換をしていたら、「娘がお世話になっています」保護者の方でした。最近、こういうことが多いんです。なにしろ、オランダでも卒業生にばったり、ですから。世界は狭い!
さて、昨日、1年生は初めてのスピーチコンテストを行っていました。スピーチが終わったあとに、去年の3年生の日本文化プレゼンの映像を見ていました。こうして先輩の様子を見ておくと、再来年ニュージーでそれを発信するときのアウトプットイメージがつかめ、来年の和の授業のモチベーションも上がりますね。和の授業の中では着物の文化を学び、浴衣の着付けも練習します。
国際会議の場で民族衣装を着ている人を見かけますが、その中でも日本の着物は美しく、注目され、着ているだけで自国文化のプレゼンテーションになることを感じます。最近は日本文化が見直され、男性でも公式の場では着物を着ると決めている人も出てきました。
生徒達には、着物は美しいだけでなく、環境にやさしく、柄や着付けのルールやマナーが日本特有の和の心、思いやりの心に根ざししていることも知ってほしいと思っています。
成人式を祝う会の会場で目を引いたのは、お母様、おばあさまから大切に引き継がれた着物。今は、伝統工芸の職人さんが減っているので、手に入りにくい技術を駆使したものも見られ、自分の子供まで大切にしてね」と声をかけました。
着物はこうして何代にもわたって受け継がれ、最後はちりにになって土にかえるまで大切に使われる日本の民族衣装です。そうして、ものだけでなく、文化と思い出を引き継いでいくのです。
卒業生と話していたら、「祖母が三年かけて探してくれました」「1年前に貸衣装屋さんに行ったら気に入るようなものはすでに片手くらいしか残っていませんでした」など、遅くとも1年前には準備をしている子が多く、驚きました。
もし、今、来年の成人式に向けて準備をしている人がいたら、新品や貸衣装を探す前に、家族や親戚や知人の家に眠っている振り袖がないか、まず探してみてはどうでしょう。骨董市や古着屋さんの着物にも掘り出し物が見つかることがあります。古くなっていたとしても、シミを抜いたり絵を上書きしたりして蘇らせる悉皆(しっかい)という技術もあります。
そして、もし、限られた予算のなかで新調したいというとき、着物の授業を始めてくださった故・二見先生からのアドバイスがあります。
それは、自分の好きな色で染めた色無地に一つ紋を入れた着物を仕立てることです。実際、今年も色無地の子がいたのですが、華やかな柄の着物の中でひときわ目立っていました。(お母さんのものだそうです)。
色無地に紋を入れれば格が高く、結婚式をはじめ、様々な場所に安心して着ていけますし、結婚後は柄を気にせず袖を短くして、一生、着続けられます。帯だけならサイズがないので人に借りやすいですし、色無地で出費を抑えた分で新調するなら落ち着いた光の金か銀にしておけば、これも長く親子で着られます。
インターネットで世界がどんどん小さくなっていることを感じる昨今、日本文化をつないでいくことの大切さをあらためて感じます。
成人式という人生の節目に、日本に生まれ育った人として、「和服の文化」も見直す機会にしていただけたらと思います。