2011/2/24 木曜日

特別講座 持田製薬~ちょっとオトナのチームワーク~

カテゴリー: 28プロジェクト:社会,卒業生 — 漆 @ 19:37:37

もうすぐひな祭り、学校の玄関には卒業生達が贈ってくれたおひな様が飾られています。

今日は、先月行なわれた特別講座の様子を担当の江頭から報告します。

プロジェクト・マネジメントの講座です。将来、社会に出たとき、チームで仕事ができる人になってほしいと、行事やクラブを大切にしていますが、この経験はそこに多いに活きそうです。

長文ですが、最後の生徒の感想、いかにも品女生らしくて楽しいので是非ご覧になってみてください。

1月29日(土)持田製薬様本社の会議室において、高校1年生・2年生25名を対象の「薬品開発特別講座~ちょっとオトナのチームワーク~」を行いました。

講師になってくださったのは、PP&M Forumの方々です。
PP&M(Project Planning & Management Forum)様とは、日本の製薬会社32社や東京女子医科大学先端生命研究センターなどに所属し、薬品開発に携わっている有志の方々によって組織された活動団体です。

近年の激しい薬品開発競争の現場で活躍されている方々が、開発期間の短縮等の課題を解決するために必要なProject Managementを日本に普及しようと、会社の枠を超えて集まり活動を続けています。

開発を成功に導くために不可欠なチーム力を高めるにはどうすればいいのか。そのような問題意識のもと集まった有志の方々が、高校生にも是非プロジェクト・マネジメントについて知ってもらいたいとの思いを抱き、今回の講座を開いて下さいました。

当日のプログラムは次の通りです。
① チームワークを楽しむゲーム
② くすりの研究・開発とプロジェクトチーム
③ プロジェクトX? 私の開発物語
④ 何でも対話セッション(ダイアローグ)

チームワークを楽しむゲームでは、チームで協力して、より高いペーパータワーを作るという作業を通じて、チームワークに必要なことは何かを考えました。10分間の作戦会議の後、40秒で紙だけを使ってタワーを建てます。一番高いチームが勝ち。ゲームは白熱し、5チームのうち2チームがほぼ同じ高さで優勝しました。
振り返りを通して、チームワークに必要なことについて様々な学びがあったようです。お互いに思ったことを自由に発言し、他の人の意見に耳を傾け、意見を集約していくこと。目標を共有すること。役割分担を明確にしておくこと。などなど。
続いて、医薬品会社の仕事とはどのようなものか、また仕事の上で欠かせないプロジェクト・マネジメントとはどういうものか、についてのお話しを伺いました。仕事では、全く知らない人同士が集まってプロジェクトを推進して行かなくてはならない場面がたくさんあります。
そんな時でもチームワークを高められるようにオトナたちがしている工夫とは・・・といったお話しは生徒にとっては初めて聞くことばかりです。
たとえば、ミーティングの時に緊張を解き、何でも言える雰囲気を作るために会議室のレイアウトを変えてみたり、お菓子を用意してみたり、などといったちょっとした工夫をすること。
ビジョンや目標、イメージを早い段階からを共有すること。PDCAサイクルを繰り返しながら進めて行くこと。スケジュールを可視化すること。などなど。
かなり長い話でしたが、興味深い話題に、生徒達は食い入るように聞き入っていました。また、製薬会社の大人達がどんな思い出薬の開発に携わっているのかがわかる動画を見せていただいた時には、感動のあまり涙を流しそうになっている生徒もいました。
続いて、実際に緑内障の薬の開発を担当されていた方の経験談をお聞きしました。
医薬品の開発をする人というと、研究室で白衣を着て黙々と機器を扱っているだけ、というイメージが強かったようでしたが、多くの人間がかかわり長い時間をかけて行われる研究開発の中では、様々な壁にぶつかることがあり、時には開発の方針や考え方の対立が生じることもあったそうです。しかし、たとえ考え方が違っていても、相手の考えに真摯に耳を傾けることによってその真意を理解することができれば、そうした葛藤を乗り越えて成功にたどり着くことができる。そして、そういう壁を乗り越えていくときに、支えになってくれたのは、一緒に頑張っている仲間だった・・・。
そんなお話に、生徒達は「研究開発」というものが、他ならぬ人間の営みであり、人と人との関係を築いていくこと、人間的な成長をもたらしてくれるものでもあることを知り、大変深い感銘を受けていたようでした。
最後に、「オトナのチームワークってなんだろう?」というテーマでグループ毎にディスカッションを行いました。途中でメンバーを入れ替えて、最初のグループで出た意見を次のグループで報告し合いながら、様々な考えをお互いに共有することができました。

3時間の長きに渡る講座でしたが、最後に「楽しかった人」と聞いたところ、ほぼ全員が手を挙げてくれました。本講座で学んだことを、是非学校生活でも役立ててほしいと思います.
以下に、生徒の感想の一部をご紹介します。

*この講座で一番印象に残ったことは、「ちょっとオトナの方法論」です。「PDCAサイクル」をプロジェクトの期間内に何度もやることでスケジュールなどをバランスよく調整できて、最後ギリギリになって焦ってやらなくていいことに気づきました。毎年文化祭が実施日近くなってきた頃に焦って準備して、結果的に満足のいくようなプロジェクトができていないので、「PDCAサイクル」を意識してやっていくことが大事だと思いました。また、「情報の共有化」も大事だと思いました。情報の共有化ができていないと話し合いも上手くいかないし、一部の主要なメンバーのみでプロジェクトを行った経験があるので、相手から話されるまで待つのではなく、自分から進んで情報を聞くようにしたいと思います。文化祭や合唱祭のやりかたが大人になってからも使えることに驚きました。

*私は理系で、薬品開発とはどのようなことか興味があったので受講しました。薬品開発は知識第一だと思っていたので、チームワークが大切だと知って驚きました。

*私はこの講座を通して、チームで何か1つのものに向かってやっていくときに大切なことは何かを考えました。そして、それはたぶん結果的には「信頼関係」なのだと思います。初め私は、チームの成功にはやる気と行動力さえあれば大丈夫だろうと思っていました。しかし、プレゼンを聞いたり皆で議論をしていくうちに、人と人とのつながりがとても大切なのだということに気づきました。もちろん、個々の能力は必要ですが、「あいつになら任せられる」という信頼のある環境なしには力を発揮することができません。だから私は、チームを作るときにはまずお互いのことを知り、支え合って助け合っていけるようになれば理想的だと思いました。

*私は今まで薬品というものに興味はありましたが、薬ができるまでの過程など考えたこともありませんでした。しかし、今回の特別講座を通して、1つの薬を作るのにたくさんの費用がかかり、たくさんの時間がかかり、たくさんの人が関わっていることを知り、とても驚きました。そして、新しい薬を作り出すのは、そう簡単にはいかないのだなと思いました。私はまだ、将来の夢は決まっていませんが、「お薬を通してみんなの幸せを守りたい」と願いながら「薬品開発」をすることに少し心を惹かれました。将来の夢を見つけるよいヒントになりました。

今回の特別講座を紹介して下さったJECCの粟野さんが、6月実施のキャリアデザイン特別講座についてブログを書いて下さっています。JECCのHPにも掲載されています。