2011/2/23 水曜日

23教科イチオシ見学会【国連UNHCR協会】

今日は2年生の華道の授業が最終回、桃の枝を花材に共同制作を楽しそうにしていました。

3年生は修学旅行最終説明会。(私は今年も、出発当日に準備をして出かけることになりそうな・・・)

午後の総合学習は1年生に立ち会っていました。地域CMの最終発表会でしたが、電通、アショカ、観光庁の方々にもお越しいただき、コメントをいただきました。なかなかよい作品にしあがっていてお褒めの言葉をいただきました。それぞれ後日、ご紹介しますね。

*昨日は修学旅行のことをお伝えしましたが、現在ニュージーランドに留学中の生徒達のこともご心配いただいているかもしれません。南島のクライストチャーチにも例年お世話になっている学校がありますが、今年は全員、北島のオークランドに滞在中です。

ニュースを見ていると被害に遭われた学生さんが自分の生徒に重なって胸が締め付けられる思いです。

さて、教科イチ押し、国連UNHCR協会、担当の黒沢から報告です。中学入学後、ABCから勉強して、ここでインターンをしている卒業生がいました。ゼロからスタートしても、好きなことや目標が見つかってスイッチが入ると、子どもの能力は限りなく伸びるものだと感じます。

中学生8名、高校生7名を連れて、国連UNHCR協会で学習訪問をさせていただきました。表参道駅から歩いて10分のところに、ウェスレーセンターという建物があり、そこの3階にUNHCR協会の事務所があります。そちらで、難民問題とUNHCRの活動について、ボランティア講師の方に講義をしていただきました。

予備知識のない生徒たちのために、まずはUNHCR協会の活動のビデオをお見せ下さいました。その後、1時間ほどスクリーンやホワイトボードを使って講義をして下さいました。講師の方は、はきはきとして明るい方で、緊張している生徒たちに質問を交えながら進めて下さいました。まずは、「UNHCRとは?」という質問から。「はい、それでは皆さん、これを書き留めておいてください。UNHCRはUnited Nations High Commissioner for Refugees (国連難民高等弁務官事務所)の略です。」と講師の方がおっしゃると、生徒たちはかりかりと、ワークシートにメモを取り始めました。高校生と中学生が半数ずつ向かい合って机を囲んで座っていたので、中高合同授業のような形になりました。UNHCRという機関は1950年に設立され、難民の支援活動をしている団体です。本部はスイスのジュネーブにあり、約120カ国で6000人以上の職員の方々が支援活動を行っているそうです。「日本人職員は約80人いて、日本以外の国で日本人職員が多い国はスイスです」と先生がおっしゃると、高校生は興味深げにせっせとメモをとっていました。
「難民とはどういう人たちのことを言っているのか知っていますか?」と講師の方から質問されると、生徒たちは言葉につまってしまいました。「カフェ難民、就職難民、などの言葉が最近ありますが、正しい難民の意味ではありません。難民とは、『人種や宗教、考え方がみんなと違うとの理由でいじめられたり命にかかわる危ない目にあい、しかたなく住んでいた国から逃げ出したひとたちのこと』です。この定義を忘れないで下さいね。」と講師の方。生徒にとっても私自身にとっても勉強になりました。
UNHCRの支援活動には大きく3段階あり―他の国から逃げてきた人々の避難所の確保、物資の支給を行う緊急支援、緊急事態が落ち着いた後の難民の生活や子供の教育を支援する中長期支援、難民がもとの住んでいた国にもどれるようになった時、生活の安全を守ったり社会への復帰を支援する帰還支援―難民キャンプの状況や、避難生活が2年~長ければ20年にも及ぶこともあること、どんな環境であっても教育を受ける権利を守るために、教育の支援を行っていること、物資支援だけではなく、戦争などで精神的な傷を負っている難民の人々の心の支援も重要であることなど、詳しく説明をしていただきました。
「日本人である皆さんにとっては、難民問題は無関係と思っているかもしれませんが、そうではありません。」きょとんとしている生徒たちに、講師の方が、普段使用している携帯電話に使う「コルタン」という資源が原因でアフリカで戦争が起こっていることや、日本にも難民がいるというお話をして下さいました。そこで、講師の方が「私たちに難民の人たちのために何ができるか考えてみましょう」と提案があり、1人1人言っていくことになりました。「まずは大きいお姉さん方(高校生)から言ってもらいましょう」と促されると、「ぼ、募金」と高校生。「他には?」「リサイクル」、「何か使えるものを送ってあげる、ということかしら?プレゼント、ということかな?他には?」「し、知る」、「支援活動や難民問題について知ることは大切ですね。その後は?」「発表会をする」、「そうですね、ぜひ皆さんの文化祭などで発表して下さい。他には?」「国連で働く!」、「そうですね、出来れば、皆さんにも働いてもらいたいです。」・・・というように、講師の方の勢いに乗せられて、(多少ヒントをいただきながら)何とか生徒たちの口からいろいろな案が出てきました。
「皆さんから何か質問はありませんか?」と最後に講師の方。中学生が「最も難民が多い国はどこですか?」という質問をしました。「最も多い地域はアジアです。イラクやアフガニスタンなどの国も難民が増えています」と講師の方。日本にやってくる難民も様々で、その中にはミャンマー、トルコ、アフガニスタン、バングラデシュ、中国、パキスタン、カメルーンなどの国があるそうです。高校生からは国連で働く条件についての質問が出ました。「国連で働くためには英語以外で何の言語を勉強しておく必要がありますか?」と誰かが。これには講師の方とは別に、国連で勤務経験のある方が質問に答えて下さいました。英語以外に国連で働いている方が話せる言語で一番多いのは、フランス語だそうです。国連本部がスイスにあるため、スイスで使われている言語は必要になるようです。ただ、時代によって必要になる言語は変わるため、現在ではアラビア語やアジアの言語(中国語など)も話せることも大切とのことです。難民問題に携わるお仕事では、様々な国や民族の人々とコミュニケーションをとる必要があるので、その国の言語を覚えることは大切のようです。今回の国連の方のお話で高校生は国連に対する興味の深まった生徒もいたようで、終わってからもいくつか個別に質問していました。

最後に、講師の方から大切なメッセージをいただきました。「今日、帰ったらお家の方に今日学んだことを必ず伝えて下さい。伝えることが重要な支援活動になります。」たった一つの思い、一回の行動、1枚のコインで難民が救えます。人としてあたりまえの権利をもつために、私たちの多くの支援の「手」が必要であることが、今回の学習訪問で知ることができました。今日訪問した生徒たちから発信して多くの支援の手が集まると良いと思います。