2015/4/8 水曜日

「お金の教養講座」公開授業

カテゴリー: 28プロジェクト:社会,授業・学習・進学 — 漆 @ 17:25:15

今日は、明日の入学式に向けて準備をしています。冬が戻って来たような寒さで、手袋がほしいくらいです。明日は晴れてくれることを祈っています。

準備の合間に、新経済サミット2015に登壇し、戻ってきました。ICT教育のセッションでアメリカとエストニアの方とご一緒でした。エストニアはICT先進国として知られています。今後、こうした技術革新で日本の教育も大きく変わっていくことを実感しました。早速生徒にもフィードバックしたいと思っています。

特別講座から家庭科の授業に取り入れた金融経済教育の紹介です。担当の酒井から報告です。

先日、ファイナンシャルアカデミーと実施した授業「お金の教養講座」を公開しました。

今回は、広くお金の知識を社会人向けに教えているファイナンシャルアカデミーさんが、中高生にもその知識を広めたいと、本校と特別講座という形で実施したのをきっかけに、その内容とても意義あるものであったため、一部の生徒だけではなく、本校に通っている生徒であれば必ず受講する、いわゆる本科に組み入れて行ったものです。

内容としては、3回講座の最終回を公開したのですが、「年々価値が上がるもの下がるもの。」と題して主に住宅ローンのシミュレーションを通して長期的な視野を持ち、金銭的な感覚を身につけ、進路を考えるひとつの材料となるようにしました。

具体的に言うと、まずは住宅の価値の海外との比較から話は始まります。
日本の住宅には中古物件がほとんど出回りません。それは日本人の潔癖な部分もあるのかもしれませんが、それよりも制度的な部分や、文化的な部分が多く含まれています。例えばヨーロッパではルーブル美術館をはじめ、外だけを残して中身をリフォームする文化は当たり前。それに比べて日本では伊勢神宮の式年遷宮を代表的に、古くなったら建て替えるという常識があります。
その上で、欧米の建物には古いものには価値があると考えること、日本は逆であることを理解します。
さらに、日本の住宅ローンは支払えなくなった借金は自己負担(リコースローン)になることが多いが、海外は帳消し(ノンリコースローン)になる。それは住宅の価値に起因する。ただ一見、海外の方が良さそうだが、実際起きたサブプライムローンからリーマンショックまでの流れを解説しました。

そういった住宅に関する価値やローンについて学んだ上で、自分の住みたい住宅を選び、そのローンシミュレーションから、自分がどれだけの年収を稼がなければならないのかを計算し、さらには職業別の年収を見せて、どんな職業に就けばそに家が手に入るのかを考えさせるというのがざっくりとした今回の流れです。

授業はもちろんiPadを使いながら、意見を双方向で出し合い、インタラクティブになるように作りました。

実際にやらせてみると、子供たちの金銭感覚のなさに驚きます。
平気で年収1500万円が必要だ、と言います。
じゃあ何するの?と言ったら「石油王と結婚する」とか言いだします。
そんな中でも、業種として興味のある職業が、どのくらいの平均年収であるのかを知ったり、このスキルを身につけると、こんな仕事ができて、どのくらいの収入があって、それが自分の生活に深く関係することに気がつきます。

インタビューを受けた子どもたちは「こんなに社会へ出た時に役立ちそうと思う授業は今までなかった」「投資については知っていたが、今までは自分と関係ない世界だった。今回の授業を通して自分が節約するだけでなく、投資するということが経済のために必要だということが分かった」「今置かれている環境が恵まれていることに気付き、両親に感謝する気持ちを持った」と言っていたそうです。

いい洋服も着たいし、美味しいものも食べたい。
でも、それと職業が結びついていない彼女たちに少し違う角度からの視点を授ける。
これがこの回の授業の大きな目的でしたので、子供達の声を聞いていると、達成できたのではないかと思います。

この3回シリーズの授業はファイナンシャルアカデミーさんのパッケージに基づき実践しました。しかも全て無料で頂いたものです。
私にそもそも金融の知識があったわけではありませんが、授業内容が大変よく構成されていたので、生徒にも上手く伝えることができました。

この授業でお世話になったファイナンシャルアカデミーのウエブマガジンがSTAGEにリニューアルされ、私の以前のインタビュー記事も掲載されています。

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