NFLJ ディベート、スピーチ大会報告
世界に出ると、日本人は主張が弱いと言われます。将来、志を持ったとき、話す中身とプレゼン力の両方があることで、助けてくれる仲間が集まります。そうした力をつけるため、昨年からディベートの授業を始めました。全米最大級のディベート大会の予選にも参加をしています。今年二回目となるその様子を担当の権藤より報告します。
保護者の方々も同じだと思いますが、教員として同じ生徒と毎日接していると、目に見えて成長を感じる瞬間というのはそう多くはないのですが、授業などで1年や2年ぶりに教えると、わずかの間にこんなに成長したのかと思うことがあります。そして留学や研修など密度の濃い時間を過ごしてきた生徒は、わずか3か月や1か月でも大きな成長を感じることがあります。
今回高校1,2年の9人が参加したNFLjという大会は、アメリカの高校生ディベート大会NFLの日本版で、第1回が昨年本校で実施され、現高校3年生が参加しました。第2回の今年は大妻中野中学・高等学校で行われ、国内から参加した学校の多くはディベート部などを持つ強豪校、また中国や韓国など海外からの参加校もあったのですが、中国の学校などは専属のアメリカ人コーチがついていました。合計72チームの参加です。
ディベートに参加した8人は今年初めての出場で、予め与えられていたテーマを熱心に研究し、それぞれのチームが持つ情報を全員で共有して臨みました。今年の高校1,2年生は1学期に週1回ディベートの授業があったのですが、普段からクラブとして活動したり大会に出たりしているわけではないので、初戦は戸惑いもあり、ディベートに慣れている相手校の圧力に押される場面が多々ありました。自分たちの言いたいことがほとんど言えず、またうまく反駁をしたり、evidence(論拠を証明する資料)を適切に示すこともできませんでした。
普通このような状況であれば、逃げたいという気持ちになっても仕方ないのですが、ここで終わらないのが品川女子学院の生徒です。1回戦終了後、つらかったという感想を述べると同時に、今度は必ず勝ってみせますという言葉も聞かれました。全チームが次のラウンドまでの休憩時間に寸暇を惜しんで資料を研究し、作戦を立て直していました。
2回戦からは少し余裕の出てきたチームもあり、審査員の最後のコメントで絶賛される場面もありました。そして昼食後は回を重ねるごとに戦い方が上手になり、最終ラウンドでは事前の宣言通り、相手を完全に圧倒していたチームもありました。最終結果は、2勝したチームを含めて合計4勝(加えて、スコア的には同点という試合もありました)し、勝てなかったチームも最後の試合では堂々と戦えていました。
スピーチに参加した生徒は、合計3回ラウンドで戦うのですが、こちらも回を追うごとに余裕が出てきて説得力のあるスピーチになり、とてもオリジナリティのある原稿だったということもあって、審査員に高く評価される(4人中第2位)ラウンドもありました。
8時過ぎから始まった大会がすべて終わったのは6時近くでしたが、やり終えたときの生徒の表情は非常に清々しく、中には、早くも来年絶対に出ますと宣言している生徒もいました。今回高校1年生で参加した生徒は、来年参加すれば必ず大きな成果が出せると思いますし、高校2年生の何人かも来年出たいと言ってきたのには驚きました。
そして、引率していた私の方は、たった1日のなかでもはっきりと見えた生徒たちの驚くべき成長力に、ただただ圧倒されるばかりでした。