2014/3/7 金曜日

ソーシャルビジネス・早稲田大学連携授業・文化構想学部

カテゴリー: その他,早稲田大学 — 漆 @ 17:59:16

今日は学年末テスト最終日。生徒達も気合いが入っています。

昨日は本校が関わっているソーシャル・ビジネス・プラットフォーム(SBP)の来年度の打ち合わせがありました。先日はこの会で「セカンドハーベスト・ジャパン 広報室長・井出さんと、雇用の問題に取り組んでいる「ビッグイシュー 代表・佐野さん」がプレゼンしてくださいました。

井出さんはケロッグの広報部長をなさっていたころ、何度か本校の生徒に食育の授業をしていただいたご縁があります。外資の管理職からソーシャルビジネスの世界へと転身したキャリアも、これからの女性のロールモデルとなる方です。 当日の様子がSBPのHPに掲載されています(こちら)。

次は早稲田大学連携授業のつづきなのですが、ちょっとおもしろいことが。

先日、英語科の教員が、赤本を手に、

「見てみてください。去年の早稲田の文化構想の一問目、グラミン銀行のソーシャルビジネスの話でした。ユヌスさんの本校での講演を聞いた子が受けたらかなり有利だったと思います。しかも、一問目なので、精神的にもよかったでしょうね」

私たちは生徒が将来羽ばたいて行く未来の世界を描いて、そこから逆算した教育に取り組んでいます。そのため、なんでそんなことが今必要なの?と言われることもありますが、ちょっと遅れてこういうことが起きてくるとうれしいです。

では、担当の白石からの報告です。

早稲田大学文化構想学部の浜野喬士先生による、「動物を哲学してみる」という講座です。
高校生には馴染みのない哲学という学問の話を、日常的な事柄を例にとって大変わかりやすくお話しいただきました。

【一つのケースを考えてみよう】
・隣家で犬の異様な鳴き声が聞こえる…
→介入可能か?
・予想される反論
→「この犬はうちの飼い犬だ」=「この犬は“わたしのもの”だ」

【ポイント】
・動物は“わたしのもの”という言葉使いになじむか
・“わたしのもの”とは何か
・“わたしのもの”には何が含まれるか
・“わたしのもの”には、他人は絶対に踏み込めないか
・財産/所有権(property)→一番広い意味での“わたしのもの”

【“わたしのもの”には何が含まれる?】
◆自分の自転車は?→財産であり所有権あり
・勝手に盗まれない権利あり
・必要とあれば売れる、気分次第でスクラップにも出来る
・世界に2台しかない歴史的自転車でもOK?
◆自分の身体は?
・勝手に逮捕されない、お金をとられない権利あり
・リスクのある行為をしても自己責任の範囲内で可能(登山・バイク…etc)
◆自分の犬は?
・勝手に殺されない権利あり cf.器物破損
・場合によって譲ることが出来る、必要に迫られれば処分出来る?

【“わたしのもの”の尊重】
・いずれにせよ“わたしのもの”である限りそれは強く尊重
・“わたしのもの”に他人が入ってくることを阻止できる
・自由の前提

身近なテーマですが、改めて考えてみると難しいものです。
一方的な講義ではなく、上記のような事柄を生徒に尋ねながら授業は進んでいきました。
普段ふれることのない「哲学」という学問分野の一部にふれることが出来て、生徒には貴重な経験となったようでした。
最後に、生徒の感想を一つ引用します。

人それぞれ「わたしのもの」があり、それは他人が関わることが出来ない。けれど、その「わたしのもの」は「みんなのもの」=「公共性」があるかもしれない。そうすると、私がすべてを好き勝手にしてはいけない。…ということがわかりました。哲学という学問は、問いを深く掘り下げていくものだとわかり、とても面白かったです。

*これからの女性の未来には、起業、ソーシャルビジネスの世界が広がってくるはずです。そんな女性達を応援する起業の講座をソーシャルビジネスプラットフォームで御世話になっている坂東学長の昭和女子大が開講します。私も構想に関わっており、起業している、または起業を志している卒業生に是非、参加してほしい内容です。

実践講座のHP → http://career-c.swu.ac.jp/course/index.html#course-p1