庚子の年、節分に思うこと
節分に知人からもらった近況報告の中に、今年の干支について以下のような言葉がありました。
今年の干支は『庚子(かのえね)』です。
この干支はそれぞれが、「庚:金の陽」「子:水の陽」という“相生(そうせい)”の関係で「金生水(きんじょうすい/ごんしょうすい)」といい、金から水が生じるイメージなのです。
つまり、干支を植物に例えれば、『庚子』は変化が生まれる状態、新たな生命がきざし始める状態です。全く新しいことにチャレンジするのに適した年ともいえます。
仕事、健康、人間関係など、それぞれが相互に影響をもたらし合い、何かに行き詰まったときは、全く別のものから活路を見いだせることもあるといいます。
実は、昨年、長く連れ添った奥様を亡くされた方なのですが、
「チャレンジに適した年。何かに行き詰まったときは、全く別のものに活路を見いだせることも」
という言葉に、悲しみの中にも前に向かう決意を感じました。
同じ日に、旧職員の方から、前理事長を偲ぶメールをいただきました。3年前の2月2日が命日でした。
お花を届けてくれた卒業生もいて、仏壇の前に飾ってあります。 |
ふと、3年前のブログを振り返ってみました。
http://diary.
この中にある、校長を交替したとき、「いろいろなことは起きるものと思っておきなさい」と言われたことが、今の自分へのメッセージのように響きました。
中高は思春期のお子さんを預かる場所。その成長はまっすぐではなく、波のような線を描きます。そして、その一人一人に家庭があり、一つ一つ違う背景があります。日々、「いろいろなこと」がおきるのです。
そして、その一人一人の成長を見守った本校は95年目を迎え、創立以来の全面改築を行っています。これも「いろいろなこと」の一つでしょう。さらに、私自身も来年はとうとう還暦。母よりすでに5年長く生きましたが、「いろいろなこと」が起きてくるのかもしれません。
2月1日に南校舎が引き渡しになり、内見をしました。仙田校長から窓から見える御殿山の景色がちょうど広重の絵に描かれた場所という話が出ました。そして、こんな写真を見つけてくれた人がいます。
手前に東棟の校舎、奧にグランドが見えるでしょう?その間に、個人住宅があるのが分かるでしょうか?
幼い頃、祖父に連れられ、この一軒一軒のお宅を訪ねたものです。「お引っ越しの予定があるときは、どうぞお知らせください」とお願いして、少しずつ少しずつ校地を広げて行ったのです。そして、近年、幸運にも南校地が手に入り、移転もなくプレハブの不便もない建築計画が実現しました。
区道を挟んで三つに分かれた土地にトンネルやブリッジをかける校舎の建築を認めてくれた品川区の協力も大きかったです。
創立に尽力した漆昌巌はこの地域の発展に尽力した人でした。そんなご縁もどこかで繋がっているのかなと感じました。そうして、95年間、「いろいろなこと」を乗り越えて、多くの卒業生、ご家族、教職員、関係者の手から手へと、バトンタッチされてきたこの学校は、間もなく100年を向かえます。次の100年も、こうしてみんなの手から手へとこの学び舎の灯火を繋げていきたいと気持ちを新たにした節分でした。