約束だから
昨日の朝、玄関に2年生のお母様が。「娘が、熱があるのに、どうしても学校に行くというので付き添ってきました」とのこと。
今、ベネッセさんとコラボで数学アプリ制作の特別講座をやっているのですが、そこで代表に選ばれ、「自分が持っている資料が今日必要なので、どうしても届けたい」ということでした。
お母様が届けてあげるとおっしゃったのに、約束だからどうしても自分で行きたいと聞かなかったそうです。しかも埼玉から。なんて責任感が強いのかと頭が下がりました。
届け物だけして帰って行く後ろ姿を見送って、ふと、70代の卒業生の話を思い出しました。
その人は、自ら手を挙げ、三越で女性で初めての紳士服部門担当になった人でした。「明日は雪」という予報の夜、徒歩でデパートに向かって開店時間に間に合わせたそうです。
そして、もうお一方、本校卒業生で、在校生に着物の授業をしていただいていた二見先生のことを思い出しました。
今はお亡くなりになられましたが、当時、先生は80代、私が着付けを習っていたときのことです。数人が参加していたため、先生のお宅ではスペースが足りないということで、毎回、こちらへ来ていただいていました。
あるとき、明日は台風という予報だったので、お電話をし、
「お越しいただくのは危ないので、変更しましょう」と申し上げると、
「何を言っているの、それくらいで。約束は必ず守るものよ」と、おっしゃいます。
「では、お迎えにあがります」と言うと、豪快に笑われて、
「大丈夫よ。戦争で焼夷弾が降ってくるのに比べれば雨風なんてなんともないわよ。それくらいで大騒ぎして、今の若い人は弱いわねぇ」と、お一人で、時間通りにお越しになりました。(しかも着物で)
目を丸くしている私たちをもっと驚かせようと、これまで体験した様々なお話をしてくださいました。
戦時中のこと、窓枠が飛ぶような巨大台風のこと・・・・。例えば、
「今日なんかよりもっとひどい台風のときね、飛行機と電車が止まったの。そのとき、広島で講演があったんだけど、先方から、交通がマヒしているから来られませんよねって連絡があったの。それで、大丈夫ですって言って、タクシー会社に電話したわ。腕っ節の強い運転手さんを呼んで!って」
なんと、先生は、台風の中、タクシーで東京から広島へ行き、約束を守ったのだそうです。
恐るべし、品女DNA!
*ダイヤモンド書籍オンラインの連載は、今日が最終回です。まさにこの卒業生のように自己肯定感高く育てるために、「自己肯定感があれば、 どんな困難にも負けない 自立した子に変わる!」というテーマです。