2019年9月24日

2019文化祭①

Filed under: 行事 — 漆 @ 5:25 PM

二日間にわたった文化祭が終わりました。心配された雨ももって、むしろ暑さ対策の必要になる気温でした。9500人のお客様にお越しいただき、ありがとうございました。

今日は、片付け日でした。青空の下で、ステージを片付け、入館証の紐を洗っています。可愛かったのでパチリ。
そして、午後は高等部起業体験プログラムの株主総会。事業には数字も大切ですが、理念を伝えることを最優先にした結果に満足しているというコメントが心に響きました。

今回は、お客様を案内しながら回ってみました。小学生の目線から見るとどうなのか、生徒の心遣いが分かりました。また、この起業体験のスタートからノウハウを提供してくださったベンチャーキャピタリストの方からは、年々進化しているとのお言葉をいただきました。中にいると分からない変化も外から見ると分かるんだなぁと。自分でもかなり写真を取りましたが、カメラマンさんからもらってからまた紹介しますね。

クラブ、中等部展示の受賞クラスと審査員の講評は以下のとおりです。

これまでと同様に、本年度も、各賞は生徒会からあらかじめ提示されていた基準をもとに、複数の先生方の採点により決められています。

まず、中等部クラス展示の優秀クラスから発表します。学年ごとの賞と、それらの中から選ばれた中等部最優秀賞です。

*1年生

優秀賞  Bクラス「みんなの知らない選挙の世界」

優秀賞  Gクラス「スマホはディナーのあとで~G組の歩きスマホの謎はいかが~」

最優秀賞 Dクラス「落書きなくして街汚さず。」

*2年生

特別賞  Bクラス「THE 突破ファイル 宿題編」

優秀賞  Fクラス「日本一(いち)行きたい教室」

最優秀賞 Dクラス「感謝の想いを伝え隊」

*3年生

特別賞  Dクラス「教育革命」

優秀賞  Cクラス「初めてドナーを知った日に読む話」

最優秀賞 Aクラス「ママを定時で帰らせます。」

各学年の最優秀賞を獲得したクラスには、それぞれに見事な点がありました。今後の参考のために、みなさんにお知らせします。

1Dは、落書きという研究テーマに沿って、段階を分けて調査をしている様子が見られました。落書きに対するインタビューや落書き消しを体験するなど、地道な活動を通してクラス全員が落書きは問題であるという認識の共有が図られていました。落書きをなくすための方法についても、提言を行うだけでなく、交流会という催しを実際に開き、その効果を測定しようとした姿勢も高く評価できます。大人が見ても、自分の問題として深く考えさせられる内容でした。また、落書きを最初からただ悪いものと決めつけず、別の視点からも調べた上で結論をまとめたり、日本人と外国人で街の落書きの受けとめ方に違いがあるのかインタビューしたりと、多角的に検討されていた点も評価できます。今後は、子どもだけでなく幅広い年齢層に向けて問題意識を浸透できる活動を期待したいと思います。

2Dは、まず、デジタルのものに頼ってしまうという身近なテーマでクラス全員の問題意識が共有されていました。紙に着目し、自分たちの想いを相手に伝える一つの方法である手紙を通して、ゆっくり、じっくり相手のことを想って書くことができるといった魅力を、様々な体験ごとに検証している点が素晴らしかったと思います。手紙を書いた上で自ら課題を発見し、それに対する改善策を探って実行してみることで、より理解が深まっている様子がよく伝わってきました。自分たちの理念をいろいろな角度から検証し、実際にアクションを起こしてみるというのが非常に重要なポイントなのですが、紙の色や素材、手紙の歴史等、長期的に取材をし、自分たちの取り組みを小学校で実践するという形で実現できていました。さらにその取り組みを来場者にも体験していただき、楽しんでいただけたこともよかったと思います。

3Aは、テーマ設定において話し合いの過程が分かりやすく、深掘りをすることによってインサイトに気付き、それに基づいたアクションプランを立てることができていました。身近な問題意識を明確に認識し、共有した上で仮説を検証し、インタビューなどの取材で得た知識を問題解決につなげること、これこそが中等部最上級生に求められる展示発表ですが、それが見事に実現できていました。多くの企業を取材し、それをただまとめるだけでなく、取材に基づいて母親、父親それぞれへの提言をまとめている点も非常によかったと思います。日本のワークライフバランスという社会全体の問題を、自分たちの立場でどのように改善するかを考え、解決策を打ち出し、来場者にもよく伝わる、一体感のある素晴らしい展示でした。ここまで到達しているので、あえて欲を言えば、ワークライフバランスがうまくいかない企業等にはどういう仕組み上の問題等があるのか、そういうところも調べて比較できれば、難しいとは思いますが、さらに深い研究になったと思います。

以上、いずれも立派な発表でしたが、今回は3年Aクラスを中等部最優秀賞ということにしたいと思います。中等部最上級生にふさわしい、よい展示でした。

例年のことですが、中等部の展示について、参考にしていただきたいポイントをお伝えしておきます。

*まず、クラスのテーマと自分たち自身とのつながりを意識し、その上で、自分たちだけでなく、社会の多くの人に関わることなのか、日本だけでなく、世界各国の人にも関わることなのか、というように、多角的にテーマを見つめてみてほしいと思います。

*現状分析から仮説をたて、調査に基づいて考察をして、自分たちなりの提案につなげる、こうした研究と展示のあり方をぜひ参考にしてほしいと思います。

*インタビュー等の1次情報を集めて分析することは重要ですが、それをどう活用し、来場者にいかに適切に伝えるか、それも重要なことです。その点でもったいないと思われる展示がいくつかありました。当然、取材に協力してくださった方々へのお礼は忘れないでください。

中等部クラス展示については以上です。
次に、展示クラブの表彰です。

今年度は、最優秀賞1つ、優秀賞2つ、特別賞1つとします。

まず、特別賞は、ECC「What festival do you like?」です。

これまでのクラブ活動内容を活かして、来場者を楽しませようとする工夫が見られました。スピーチを発表したり、小学生を含めた来場者がゲームに参加できるようにしたりなど、もてなしの要素もあり、とても充実した内容でした。テーマを設定してのインタビューもよかったと思いますし、部員の皆さんが明るく接している姿に好感が持てました。今後のさらなる活躍を期待しています。

次に、優秀賞は2つ、まず被服部「Parallel World」です。

コンセプトをはっきりとさせ、それに基づいて地道な活動をしている様子が見られました。部員それぞれがブランドをたちあげるというテーマがよかったと思いますし、オリジナルロゴを考えるなど、新しいことに挑戦しようとしていた点が特にすばらしいと思います。また、製作した服を展示するだけでなく、その作り方をとても丁寧に説明しており、来場者に分かりやすい、大変好感の持てる展示内容でした。手作りサシェの販売だけでなく、体験ブースを設けた工夫もよかったと思います。

もう一つは、生物部「食べる細菌」です。

都内の公園での昆虫採集や、条件を変えて作った9種類のヨーグルトの実験・分析・検証など、長期的な計画に基づいて充実した研究活動をしていることがうかがえ、なおかつ、その結果を丁寧にまとめて展示している点がすばらしかったと思います。また、解剖の実施も、来場者にたいへん好評な企画だったと思います。研究目的や今後の展開などを明確にして、さらに活動を継続していくことが期待されます。

最後に、最優秀賞は、クッキング部「料理奔放」です。

1年間の活動内容が一つ一つわかりやすくまとめられていて、来場者によくわかる展示でした。情報量の多さに圧倒されますが、活動の成果としての動画発表など、展示内容の工夫によって見事にまとめていました。今年のテーマである『エコ・クッキング』について調査し、体験して、レシピを完成させるなど、楽しんで活動している様子が十分にうかがえました。また、実際にコラボレーションした商品を購入できるなど、盛りだくさんの内容でとても充実していました。また、そのコラボレーションも、主となる素材を変えて毎年継続している点がすばらしいと思います。長期的な展望を明確にして活動しており、今後のさらなる展開が楽しみです。

クラブ展示については、日常の充実した活動の成果や、部員全員でテーマを深く研究した結果が発表されることを、来年度以降も期待しています。

*ちょうど、28プロジェクトに関する記事が再掲載されていましたのでご紹介します。→https://style.nikkei.com/article/DGXMZO49626130Q9A910C1000000?channel=DF130120166018&n_cid=DSPRM1489