2015年7月28日

NFLJスピーチ・ディベート大会②

Filed under: 世界 — 漆 @ 4:00 PM

昨日の続きです。

なにしろ、部分練習のみは3回くらいしたものの、通しでディベート競技をやったことが一度もない本校の生徒達。

初戦は、相手にこてんぱんに打ちのめされて、「英語が出ない」と呆然、「心がズタズタ」と涙ぐむ子も。(精神的に追い詰められて、棄権してしまった男子生徒もいたくらいですから)

それでも、あきらめず、励まし合い、助け合い、気持ちを切り替えて、後半戦に臨んだ結果、なんと、次々と勝つことができたのです!

最後の対戦でジャッジがこうコメントしていました。

「ディベートには大切なことが二つある。一つはプレゼン。論理的にわかりやすく自分の意見を伝えること。そのために客観的な資料を集め、根拠を示すことも大切。もう一つは、相手の意見に対抗すること。そのためには、相手の意見を聞く力が必要。そして、突っ込まれても議論の軸をぶらさないこと。何がテーマなのかをしっかりと始めに定義し、何が問題なのか、なぜ?を繰り返して考えきることが大切。」

審判のフィードバックは褒め方が上手で、改善点も次につながるように具体的に述べてくれます。帰国生相手では当然、英語は歯が立ちませんが、議論の中味で採点していることがよく分かりました。対戦を見ていたボランティアの子達もこうしたコメントを一緒に聞けるので大いに刺激になりました。

「相手の論が自分の考えと同じだと反論しにくい」「批判はかわいそうになって躊躇しまう」と言っていた子がいました。確かに、日本人は意見と人格を一つのものしてとらえがちで、意見に反対すると人格を否定されたようにとってしまうことがあります。また、はっきりと自分の意見をいうことは出しゃばっているようで気が引けるということもあります。

しかし、様々なバックグランドの人々が集まる世界では、自分の意見をはっきりと主張することはとても大切で、「○○さんと同じ意見です」などと言っていては、自分の意見のない人と思われ、尊敬されません。

ディベートは自分の意見を言うのではなく、与えられた立場で議論を展開します。そのことによって、事実と意見を分けて客観的に見る力、論理的にものを考える力、立場を変えてものを見る力がつきます。

校内では議論で負けることのないような子が、海外からの対戦相手に圧倒されているのを目の当たりにして、これからのグローバル社会に生きる生徒達には、日本的な和の心と、多様性に対応する力の両方を身に付けさせていかなければと強く思いました。

生徒達が、短時間で弱点を克服していく対応力に目を見張り、また、試合が終わったあと、参加者同士がたたえ合い、あっという間に友達になっていく様子を見て、多様性の時代、世界の中で生きていく生徒達には、今後も是非、体験させたい貴重な機会だと感じました。

今回、勝てた対戦も負けた対戦も、すべて糧になったと思います。特に二回戦からは参加メンバー全員で協力しあったので、参加者全体で生み出した結果とも言えます。

ボランティアの生徒、ご家族、準備段階からサポートしてきた教員、みんなの応援も支えになりました。

第1回の会場校を引き受けるにあたっては躊躇もありましたが、生徒達の、やりきった表情を見ていて、やってよかったと心から思いました。学校がリスクを怖れてチャレンジをあきらめてしまえば、生徒のチャンスも減ってしまいます。未知の世界にチャレンジする生徒達の勇気と、それを応援してくださるご家庭に、品女が支えられていることをあらためて感じる一日でした。

このような流れでした。↓

IMG_0009 対戦相手と並び、ジャッジが採点します。
IMG_0010 作戦タイムを取って相談。スポーツの試合のようです。
IMG_0012 同時に、スピーチの部も開催されました。
IMG_0015 終了後はあっという間に仲良しに。すごい熱気です。
IMG_0017 ボランティアをしてくれた生徒達も、中国、台湾の子達と連絡先の交換をしていました。インターナショナルスクールも参加しているので、インド人のチームもありました。
IMG_0020 最後の結果発表。4月から本校でディベートの授業をしてくださっているクリス先生から。今回のジャッジのまとめ役もした専門家です。