中3の総合学習のチャレンジ
今年の中3総合学習は、従来の企業コラボを進化させ、新しいチャレンジをしています。(あまりに毎回中身が濃いので、きちんと書こうと思っているうちに一学期が終わってしまいました)
単に商品企画をするだけでなく、その前段階で世の中のニーズ(困っている人がいないか、不便なことがないか)を見つける目を育て、その問題を解決する思考法とスキルを身につけようというものです。
一学期は、慶応義塾大学SFC・坂井直樹研究会との共同授業です。坂井さんは著名なコンセプターで、日産のBe-1を始め、これ見たことある!という様々な企画、デザインをなさっています。
毎回、各クラスに学生ファシリテーター(慶応現役と京大OBで、学生起業家など生徒と年の近い人材揃い)が入り、坂井研の「デザイン思考=試行錯誤しながら課題発見・解決の方法を学ぶ授業」を実施しました。
デザインによる価値の創造、問題発見から解決までのシミュレーション、ネットリテラシー、ブレインストーミング、自己発見、プレゼン等。
そして、これからの社会で人の力をつなぎ合わせるツールと不可欠なソーシャルメディア(ツイッターやフェイスブック)もリスクから自分を守る方法を伝えた上で、積極的に使いました。
(私はネット関係の法案や教育関連の委員を頼まれることがあるのですが、日本の考え方は、「リスクから子供を遠ざける」というもの。世界のスタンダードは、「リスクコントロール力を付けてチャンスを活かす力をつける」というもの。このままでは大人になったとき、一人で道を歩けない人になってしまうと危惧していました。 )
一回目の授業のメモの一部です。
・ネット上に発信したいいことは資産、悪いことは負債となって消えない。 ネットリテラシーは人としてのマナーとなっている 。
・個々の発信力が強くなっている時代だからこそ、悪い情報を発信するとそれがさらされる Twitter、ブロガー、Facebook、それぞれの特徴を知った上で有効に活用する。
・ブレーンストーミングを学ぶ。 アイディアとは目の付け所。
例えば、 個人宅に警備員がいたらいいな→セコム
録音ができない聞くだけのテープレコーダー→ウォークマン
よいアイディアの特徴は、「見たことない。でも、なんで今までなかったの?」というもの。
・ブレストで大事なこと は、①数を出す ②自由奔放(ユニーク、新しいことが大事)③その場で結論を出さない④他の人のアイディアの上に作る。これらは、「よく考えてから発言しなさい。他人の答えを見てはいけません」という普段の授業の逆とも言えること。
上記のような全体授業の後、各クラスに別れてワークショップ をしました。
例えば意見をどんどん出すための練習として、
「文化祭に呼びたい人は?」
生徒の答え「 池上彰」「国連関係者」「彼」・・・
「品女にあったらいいものは?」
生徒の答え「 うちわ、飛行機、直通電車、バリアフリー、温泉、イケメン、アイス、総合するとどらえもん、グランド、ハワイ、クロゼット、 総選挙、バラ園、 上品な雰囲気・・・」
(私を見て、校長先生、買って~という目)
班ごとに意見の数を数えると、やり方によってアイディアの数が変わることも分かりました。(模造紙に書くより、付箋紙、付箋紙を割る、みんなで書く、書記を決める、分類の仕方を変えるなど。)そして、数が出てくると自由な意見も出やすくなることも体験。
2時間、本当に中身が濃い時間になりました。ファシリテーターが年齢が近く、しかし、全員が専門分野で社会的に活躍している人であることが生徒にとって、よいロールモデルとなり、活気が出たのかもしれません。さらに続きます。
*主任ブログ、担任ブログでも詳しく紹介されています。
*ムハマド・ユヌス氏来日記念講演のお知らせ
今回の総合学習を考えるきっかけになった社会起業家、昨年、本校でも講演をしてくださった2006年度ノーベル平和賞受賞者のムハマド・ユヌス氏の講演のお知らせです。
日時:7月23日(月)18時~21時(開場17時) 場所:昭和女子大学人見記念講堂 参加費:S席10,000円 / A席2,000円(日英:通訳あり) 申込・詳細はこちら
◆当日のスケジュール
第一部 ムハマド・ユヌス氏基調講演とパネルディスカッション
第二部『絵のない絵本』・出版記念チャリティーコンサート
ムハマド・ユヌス氏のパーソナルマークを手がけた稲吉紘実作の絵本で、核戦争で崩壊した星をアートでよみがえらせるファンタジーです。この作品をムハマド・ユヌス氏が朗読する予定です。 また、ユヌス氏のお嬢様でオペラ歌手のモニカ・ユヌス氏が、美しいソプラノを披露するそうです。