森永製菓コラボ授業 その後
昨年の中3総合学習で行っていた森永製菓コラボ授業のその後のまたその後です。
2008/2/26のブログで、
「品女版ハイチュウのコンペ優勝作品が、実は技術的に作れないものだった。残念だったが、マーケットのニーズと技術のせめぎ合いのなかでものを作っていく過程を知ることができ、学びも大きかった」という話をご紹介しました。
生徒の作った「パチパチ警報」というネーミング(これはプロからも絶賛されました。)の口の中でパチパチはじける柑橘系のコンセプトを実現が技術的に難しかったのです。
ところが、その後、森永製菓さんでは、
「せっかく生徒さんが考えてくれて、そこまでニーズがあるならば、やはり、作ることにチャレンジしてみよう!」
ということになり、開発が進み、実はこの秋の発売予定で、販売先のコンビニエンスストアまで決まっていました。
これを聞いた優勝チームの生徒は大喜びでした。
ところが・・・。
最終の詰めの段階で、
「コンセプトの食感を実現するためには、特別な食材を予想以上に大量に投入しなくてはならず、コストがかさむ」
「それを大量に入れるには、工場の仕組み上、大きなサイズのハイチュウにしなくてはならなず販売先と折り合いがつかない」
ということが起こり、販売を断念したそうです。
「考えてくれたチームの生徒さんに直接説明したい」と、森永製菓のご担当がわざわざお越しくださり、
「一度は、特別な食感の素材を抜いても味だけを残して商品化しようかと思ったのですが、それではせっかくの生徒さんのコンセプトがなくなってしまうので」と、とても残念そうにご説明くださいました。生徒のアイディアを大切にしてくださるお気持ちが伝わってきました。
生徒達は、さすがにがっかりした様子でしたが、
「商品化されなくても、こんな経験はめったにできないことなので、充分です。」
「試作品まで作っていただいて、ありがとうございました」と、お礼を言っていました。
最後まで下を向いていた生徒がいたので、学年主任が声をかけると、
「オープンキャンパスのプレゼンで言ってしまったのですが、受験生は大丈夫でしょうか?」自分のことでなく、その心配をしてくれていたのですね。
「品女版ハイチュウ」を楽しみにしてくださっていた皆さま、ごめんなさい。私からお詫びします。
休み時間が終わって、生徒が部屋から出て行った後、森永の方が「生徒さんを見ていたらこっちの方が泣きそうになった」と目をウルウルさせていらっしゃいました。
ポッカの桃恋茶の開発に関わった生徒が、
「一つの商品が世に出るまでに、どれだけ多くの人がどれだけの時間をかけているかを知ることができ、その重みを感じられるようになった」
と言っていましたが、私自身、その厳しさを感じました。
子供達にとっては、バーチャルではない本物の社会を知る機会になったと思います。今は悲しくても、この経験はきっと28歳の彼女たちの糧になるはずです。これまで、ご協力いただいたみなさま、ありがとうございました。
試作品です。包装紙に品川女子学院とのコラボと書いてありました。粒も最終的にはブルーにしてかわいいものになるはずだったそうです。
*先週から日経ビジネスオンラインにコラムが連載されています。今日は、本校の大切にしている姿勢の一つ「スピード重視」について、ニュージーランド修学旅行のエピソードを交えて書いています。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/skillup/20081014/173813/