卒業生の話つづき 理系
先日、外で卒業生とばったり会いました。これから就職の最終面接だそうです。部活を続け、留学も経験し、充実した学校生活をおくっていた子です。ひとしきりおしゃべりし、
「じゃあ、面接がんばってね」
「今日、先生に会えてよかったです」と別れました。
この時期、内定が出たり、大学院が決まったりして報告に来る子が多くなります。
先日は理系の子たちがこんな話をしてくれました。
内定が出たのは最大手の電機メーカー技術職、周りを見渡すとほとんどが国立の院卒、私大の学卒は自分だけだったそうです。
「自分としてはどうして受かったと思う?」と聞いたら、
「初めの面接で、課題のプレゼンをしたら、『君は人間力で行け!』と言われました。まだ研究実績がないので、院生と比べるとどうしても薄っぺらい内容になってしまうんです。あとで聞いたら、『君は部屋に入ってきたときの挨拶の声が一番大きくて印象に残ったのでこれはいけると直感したよ』と言われました。」
「後輩にアドバイスは?」と聞くと、
「面接では、しゃべる力が大切です。それも、ただしゃべるだけじゃなくて、人の話を聞いて理解してきちんと答えること。面接官はほとんど年配の男性なので同世代や同姓だけでなく、多様な人と話す機会を持っておくといいと思います。あと、任地が海外になったり会議も英語だったりするので、英語を話すことに抵抗がないかは聞かれました。それから、相手から質問は?と聞かれたとき、どんどん聞けるような好奇心があるといいです。」
大学院に進学する子も、口をそろえて、
「今は、しゃべれる理系でないとだめなんです。技術職や研究職で入ってもずっとそこにいるとは限らず、営業や広報へ行くこともありますし。」
「女性は面接で男性より優秀に見えるらしいんですが、それは、ノンバーバルが発達しているからで、入って来たときの挨拶、話すときの笑顔とか、目を見て聞いて頷くとか、そういう印象がプラスに働くらしいです。研究に自信があると、つい専門分野の話に熱が入りますが、相手に分からないこともありますから、相手の立場に立てるコミュニケーション力が大切です」
なるほど。総合すると、どういう立場の人ともコミュニケーションできる能力を中高のうちに身につけておく必要があるということでしょうか。
本校は社会人と接する機会やプレゼンの機会が多いですが、この子達は特に多くのことに自ら積極的に参加し、チャンスを有効に使っていました。
理系、文系と言っても垣根を越えて仕事の幅は広がっています。そういえば、先日、ある会計士さんが、「今は、国家試験の合格者数が増えているので、ただ資格を持っているだけでは就職が厳しいんです。同じ会計士でも学部は理系だったとか英語が話せるとか、何かプラスの要素があると有利なんです」と言っていました。
卒業生達とひとしきりおしゃべりして職員室にもどると、
「ええ~、受かったの?よかったね」と電話口で喜んでいる教員が。卒業生から歯科医師の国家試験合格の報告でした。
さて、私も浪人時代含め、いろいろな時期がありましたが、長い人生、物事が順調に進むときばかりではありません。
ブログに書けないだけで、うれしいことを話しに来る子がいるのと同じように、悩み相談にきたり、煮詰って息抜きにきたりする子もいます。自慢話も愚痴も遠慮なくしに来られる、そんな母校でありたいと思っています。
校舎のバラが咲きはじめました。もうすぐ芳葉会の季節がやってきます。
*2年生の「日本を知る」授業や茶道部でいつもご指導いただいている遠州流の展覧会「紅心小堀宗慶展」があります。
6月5日から目黒区美術館にて。会期中、お家元の講演会やワークショップもあります。
チケットをいただきました。事務所前、3階の踊り場に置いてあります。ご家族もご一緒にどうぞ。