2010/2/16 火曜日

春期講習・教科イチ押し 森美術館

カテゴリー: 授業・学習・進学 — 漆 @ 15:13:53

20100216080326.jpg朝、事務所前にこんな列が。春、夏、冬と長期休暇前の風物詩、講習の申し込みです。

入学予定者のみなさん、登校日に出た宿題にはとりかかりましたか?在校生は春休み中もこうして学習に取り組んでいます。長期休暇は得意分野を集中して伸ばし、苦手分野にじっくり取り組むチャンスだからです。

受験で得たものの一つに、「毎日の学習習慣」がありますね。その大切な宝物を手放さないよう、中学生活へのウオームアップを始めてくださいね。

少しずつでもいいから「毎日」が大切です!

教科イチ押し見学会続きです。森美術館見学を引率の塩崎からご紹介します。

20091217_mam.jpg11月28日から2月28日まで開催中の展覧会「医学と芸術展:生命(いのち)と愛の未来を探る」を見学しました。
2~3年生26人が参加しました。見て考えたこと・感じたことを言葉にするのが目標です。

専任スタッフの方による少人数グループのツアーという贅沢な体験をさせていただき、皆楽しみながら深く考えられたようです。
スタッフの方から、「お行儀がよく、考え方もしっかりしていて、高校生だと思った」とお褒めの言葉を頂戴しました。

【事前準備】
今回の展覧会はテーマが大きく、捉え方が難しいように思いましたので、事前の説明会で1つ短い文章を読み、ある視点を共有しました。
その文章は、石田秀実『死のレッスン』の一部です。次の2つの質問をつけ、自分の考えを書いてもらいました。

Q 文中に「自己の身体を冷凍保存しようと考える人すらいる」とありますが、あなたはそれについてどう考えますか?

・そこまで長生きしようとするのは、理解が出来ないです。人の心臓で生きていくのは、自分も気分が悪いし。
・人間は必ず死んでいくから目標とかがもてるので、ずっと生きられるとしたら、ダラダラと生きてしまうと思う。
・冷凍保存はしない方が良いと思う。今でさえ人口の増加により地球環境をこわしているのに、冷凍保存でどんどん人口が増えていったら最終的に何も生きていけない世界になってしまうと思う。また、この人の「命」はこの人の「命」より大切だから残そうという生命の順位がついてしまうことは良くないと思う。

Q 本文の最後に「病み、老いて死んでいくことが、人の自然な在り方として改めて見直され、人が健康であることが、強迫観念でなくなるような日はいつになったら訪れるのだろうか」とありますが、あなたはそれについてどう考えますか?

・健康に対する欲は人間の本能なので、それが尽きることは無いと思う。
・別に人が健康であることが強迫観念であってもいいと思う。それで誰かに迷惑がかかっているわけでもないし、そういう観念で長生きできれば自分にとってもすこしでも長く一緒にいたい家族にとってもいいことだと思う。
・若々しくいたいけれど、人生がいくらでもあったらつまらないと思う。

【事後ワークシート】
見学会当日は作品を見ることとスタッフの方や他の生徒と話すことを重視し、書くのは家に帰ってからにしました。いくつかご紹介します。

Q 印象に残った作品名・アーティスト名と、その作品を鑑賞して考えたこと

・死ぬまぎわに撮った写真と死んだ後に撮った写真をてらしあわせて見るなんてことは初めてで衝撃的だった。死ぬ前の写真はほとんど皆の表情が悲しそうという印象だった。多分、余命がわかってしまい、残りの時間もないから悲しい表情なのだと思う。一方、死後の写真は眠っている印象で、苦しそうとか思わせなかった。ただ、言えることは、魂がないということだ。(ヴァルター・シェルス「Life Before Death」)

Q この展覧会には人体に関する作品が多数展示されています。人がこれほどまでに人体にこだわるのはなぜだと思いますか。

・自分の体についてもっと知りたいと思うから。もっとみんな元気に長生きしたいと思うからだと思います。

Q あなたはこれからの医療にどんなことを期待しますか。(こんなことができたらいい/これはしてほしくない…)

・もっと人の体の研究を利用して、たくさんの良い薬を作ってほしいと思いました。
・今難しい病気の薬は新しくできてほしいと思うが、死なない薬ができたら怖いと思います。
・クローンを作ったりするのはやめてほしい。そんな簡単に命が戻ると考えたら、人は人のために生きなくなって殺人とかも普通にするようになると思う。

Q 美術館という場所について、今回の見学会で得た印象

・普通の美術館はつまらないという印象しかないけど、今回はなんか考えさせるものがあって、見入ってしまう所もありました。
・もっと堅苦しいものだと思っていたが、そんなことはなく、すごくおもしろかった。

Q 今回の展覧会「医学と芸術展:生命(いのち)と愛の未来を探る」の感想

・生命というのは定まった期間までのもので、誰でも死が近いということを知ると悲しくなってしまう。つまり、生命というのはかけがえのないもので大切なものだと改めて思った。だからその定まった期間の中で大切に濃く生きようと思った。

今回の見学会で、テーマについて考えて表現できただけではなく、美術館に対する考え方も変わったと思います。これを機会に、時間ができた時に足を運んでみる場所の1つになると幸いです。ご興味を持った方は、ぜひ森美術館にいらしてください。