昨日で入試が終わりました
昨日で入試が終わりました。
入試期間中は万が一にもミスがないようにと職員全員が張り詰めた気持ちですごし、合格発表の掲示前で記念写真を撮るお子さんを見てほっとし、そして、今日はなんともいえない気持ちでいます。
今はネット発表をご覧になってからお越しになる方が多く、掲示板の前でお子さんの悲しい顔を見ることはほとんどなくなりました。
しかし、試験終了後、説明会やオープンキャンパスで何度も見かけたお子さんが、肩を落として廊下を歩いてきて、それでも、玄関の私を見かけると「ありがとうございました。さようなら」と挨拶をしてくれる、その後ろ姿を見ていると、「今日のテストは手応えがなかったのかな」と涙がでそうになります。
多くの学校の中から品川女子学院を選び、限られた受験日を本校の試験に当ててくださったすべてのお子さんとは、ご縁を持つことができないことを申し訳なく思います。
遊びたい盛りの小学生が、数年間、いろいろなことを我慢して受験勉強に努力してきた、その結果をたった一回の試験で発揮しなくてはならない、本当に難しいことだと感じます。
複数回受験をしているお子さんの点数を見ると、同じ子でも波があり、中には、2回目3回目と数十点ずつ伸びていて、この子はあと一回試験があれば・・・という方もいます。
「子供の将来の為にストレスやハードルは大切」といつも言っている私ですが、このときばかりは、努力や熱意に応じて結果がでるわけでないことに、やりきれなさを感じます。
入試期間中、親御さんからいろいろなご相談を受けることがあります。
そんなときお話ししていることがあります。ご家庭やそのお子さんによって事情は様々ですし、余計な事かもしれませんが、何かの役に立てばとご紹介します。
■ あのときこうしていれば、ああしていればと思ってしまう。自分が悪かったのだろうか。
結果からみるとそう思えるかもしれませんが、その時々の親御さんの行動はすべてお子さんへの愛情から発していたのではないでしょうか。
お子さんにとって、自分の事で親がいつまでも悩んでいることはかえってつらいことです。この先、お子さんは、少しずつ親離れし、自分のしたことの責任は自分で取らなければいけない年齢になっていきます。
「お母さんは私のためにこう言ってくれた。でも、○○したのは私」と親と自分の問題を分けて考えられるようになるためには、まず、親御さんが自分の問題とお子さんの問題を分けて考えることが必要です。
分けてみて、自分自身の気持ちがおさまらないと気づいたときは、誰か聞いてくれる人に思い切り話してしまうとすっきりするかもしれません。
■ なにもかも思い通りにならなくて、あの三年間はなんだったのかと後悔ばかりしている。
子供の前では笑顔でと頑張りすぎるとどこかでそれが出てしまうこともあります。お子さんのいないところで、悲しいこと、残念なこと、悔しいこと、マイナスな言葉はすべて出し切って落ち込むだけ落ち込んでしまうと不思議に先に進めることがあります。
出すだけ出したら、「得たもの」「よかったこと」を探してみます。必ずあるはずです。
多くの卒業生を出してきて、失敗から得ることは成功から得ることよりずっとたくさんあると実感しています。
今は、目の前の事で一杯だと思いますが、「この先役に立ちそうなこと」と少し未来を見てみると違うものが見えてくるかもしれません。
■ 志望順位の低かったところに行かせたくないが行かざるを得なくて気持ちが暗くなる。
志望順位は何で決めましたか?もし、それが数字だったらお見せしたいのは、10年前の数字です。きっと、今と配置が違うことに驚かれるでしょう。
数字は合格の確率を見極める道具です。受験の後はそれを横に置いて6年間通う学校として、中身を見てみましょう。(これは、最後に複数の学校で迷うときも同じことが言えます)
学校は(他人の評判や数字が)「いいわるい」ではなく(うちの子に)「合う合わない」です。
人がうらやむようなところに進学しても合わなくて悩む子もいますし、気が進まないところに進学しても、そこで水を得た魚のように活躍してその後、大きな夢を叶える子もいます。私はそういう例をたくさん見てきました。
■ 熱望していたところに入れなくて気持ちが収まらない。
このとき、絶対やってはいけないことがあります。それは、「あんな学校行かなくてよかった」と悪いところを探して慰めることです。その時は溜飲が下がっても、長い目で見ると、都合の悪いことが起きたとき、理由を他に見つける概念がお子さんに入ってしまいます。
入試にはその時の運があります。でも、その時は運に恵まれなかったと思ったことが、先々、あれでよかったと思えることもあります。
受けた学校はすべて選んだ学校として肯定し、そのなかで最終的に縁のあった学校が「一番自分に合う学校」なのだと伝えてあげてください。
私たちの学校は28歳の未来をみて生徒を育てています。大学入試の時点で思いがとげられなくても、その後、大学院や就職でよいニュースが次々と舞い込んできています。
ましてや中学入試はその先に長い長い時間があります。現在の結果を周りと比べず、「うちの子の未来にとってどうなのか」、深呼吸をして目線を先に送ってみましょう。
「自分のことより、親がどう思うかが気になった」という子もいます。子供は親の表情を読みます。子供がそこを「自分の居場所」と思えるよう、家族みんなで喜んであげてください。
進学した学校に誇りを持って通ってくる子、そこでの学校生活で何をしようと前向きな気持ちを持っている子は必ず伸びます。
卒業式の日、「この学校でよかった」と言える学校生活のスタートを気持ちよく切れるよう応援してあげてください。
最後に、一つも合格しなかったという方に。
私は中学受験には合格せず、中・高と地元の公立に通いました。そこで、多様な価値観にふれ、今の自分の土台を築くことができました。そして、その時の先生方とのやりとりの中で、教員の道への志が固まりました。
そうした公立のよさを知っているからこそ、私学人としての今があると思っています。
*2月11日(木)の入学予定者登校日まで校長日記はお休みします。