2009/12/8 火曜日

特別講座 編集の仕事 ④

カテゴリー: 28プロジェクト:社会,授業・学習・進学 — 漆 @ 14:49:04

ザ・テレビジョン」編集長の藤田さんによる特別講座の続きを江頭からご紹介します。最後に生徒の感想が載せてあります。

この他にも総合学習、特別講座、クラブ活動等に、校外の方々のご協力をいただいています。

*3年生総合学習の企業コラボ(Yahoo!Japanのオークションサイト企画)はゴール間近、ちょっとびっくり!するようなことになってきています。(後日、これまでのものをまとめてご紹介しますね)

*12月11日(金)からはテレビ東京から「番組の共同開発」という貴重な機会をいただき、新たな特別講座が始まります。

*社会科では、毎日新聞社に勤務する海外取材経験のある女性記者(イラク戦争などの取材経験がある方で、英文毎日編集部デスクもご経験)をお招きし、『世界情勢・国際問題』についての特別講座を開催しました。

*クッキング部では、サークルKサンクスさんから7,8名の社員の方にお越し頂き、お菓子の試食やパネルディスカッション等をしていただく予定です。

第4回の講座も、課題の発表から始まりました。課題は、「小説の企画を立てる」というもの。発表の後で前回同様、それぞれの班に対して具体的に講評していただきました。

以下に、作品の内容と講評のポイントをご紹介します。

1.jpg1班目は、人間になった猫が元の飼い主と恋人になる話。タイトルは「LOVELESS」。

飼い主と猫の関係性の修復の物語という、アニメ・映画のイメージが浮かんでくるような世界が作れており、思いやりや優しさというメッセージ性が明確に打ち出されていたのがすばらしい。また、タイトルも読者に「どうなるんだろう?」という疑問を抱かせ、知的温度をあげる効果がある。  

2班目は、かつて野球に燃えていた、今は不良の男子高校生と女子高生の恋愛物語。

金髪にピアスの不良少年、というキャラクター設定が鮮明に打ち出されていたのがとてもよい。普段の生活レベルで展開していながら、普通には存在しないものを提示することで読者を引きつける力がある。  

3班目は、妖精の男の子ショウと人間の女の子ジェニファーの恋愛物語。

妖精という非日常的な存在を恋愛対象として登場させながらも、「痴漢から助けてもらった」というきわめて日常的な場面に出会いを設定することによって、読者に違和感なく妖精の存在を受け入れさせることができている。作家の世界に引き込む力があって、すばらしい。また、物語が恋愛物語から冒険物語へと発展する展開や、やがて親友が二人のために自らの身を犠牲にするという愛と自己犠牲というテーマへと結びつけられていく結末がとてもよい。  

31.jpg4班目は、自動販売機が縁で出会った高校生、壮平と夏海の青春恋愛物語。

主人公の名前がどこにでもいそうな平凡な名前であることによって、読者に親近感を与えるという効果がある。また、二人の出会いの場面であった自動販売機での商品の取り違えというモチーフが物語の最後まで貫かれているので、読者が安心して本を閉じられるところがよい。

5班目は、自分を拉致監禁した男性とのいびつな愛の物語。

誘拐・監禁といういびつな形でしか愛情を示せない男性が、誘拐という一見肉食系男子の行動を示しつつ料理を作ってあげるという草食系の面もあるという人物に設定されている。現代のトレンドをよく捉えていて、高い取材能力を感じさせる。  

6.jpg6班目は、本校のミッションをテーマにした冒険物語。

道徳の時間に学校の歴史について習っているうちに睡魔に襲われた主人公が、夢の中で本校のミッション「私たちは世界をこころに、能動的に人生を創る日本女性の教養を高め、才能を伸ばし、夢を育てます。」に込められた「世界」「能動性」「才能」という諸価値を体現した国を巡る旅をする。

旅をするうちに主人公が成長していくという物語のパターンは、起源神話を語るギリシア・ローマ神話から続く手法。神話的な世界観を喚起させながらも、現代のトレンドもしっかり押さえてあってすばらしい。  

今回は6班中5班が恋愛小説を提案しました。恋愛に対する憧れがそうさせたのでしょうか?しかし、恋愛小説を企画することは自分たちの恋愛小説を企画することは自分たちの恋愛観を人前にさらすことにもつながります。そのせいか、生徒達は恥ずかしそうな表情を一生懸命にこらえて発表している感じがしました。が、いずれも物語の展開にさまざまな工夫が仕掛けてあり、また前回の授業で習った「物語の黄金律」を踏まえてあって、聞いていて飽きませんでした。藤田さんからもそのポテンシャルの高さを褒めていただきましたが、それもたぶんお世辞ではなかったのではないかなと感じています。

21.jpg講評の後は、今回が最終回ということで事前に生徒から集めた質問に答えていただきました。

一番多かったのは、やはり「編集者になるには、どうしたらいいのか」というような質問。藤田さん自身は法学部出身で、編集部には理系出身の方もいるそうです。採用官が見ることは、学部がどこかということよりも、大学の4年間で何をやってきたのか、という点なのだとか。

大学でどれだけワクワクしていられたか、色々な経験や勉強を通して自分に不足していること、足りないことをどれだけ発見できたのか。その足りないものを補うようなことを続けていれば、やがて自分とは何者なのかが見えてくる。大切なのは自分が何者であるのかを知ること。だから今は、自分が好きなことや好きなものを中心に学部を選べばよい。  

このお話しの後で、遠藤周作さんの「砂の城」の中の、勇気づけられる言葉を教えていただきました。「心配ないから。大丈夫。美しいものは消えないんだから。」 

「美しいもの」というのは自分の中のあるがままのもの。打算的な考えばかりしているとやがて見失ってしまうようなものでもある。老子の「無為自然」ということばのように、無理をせず自分自身の自然なあり方を貫いていけばよい。  

そして、自分は「何者にでもなれる」。そう思って欲しい、と最後にメッセージをいただいて講座は修了しました。

41.jpg終了した後で、記念写真も撮りました。わずか1ヶ月弱の講座ではありましたが、この講座で学んだもの、受け取ったメッセージはとても大きなものだったと思います。

最後に、4回の講座を修了した後での生徒の感想からいくつか抜粋して紹介します。(かなりびっしり書いてあるものからの抜粋ですので、長くなります)。  

・ 私は進路のことでとても迷っていて、どんな学部が一番就職によいのだろうか、就職するにはどんな大学がよいのか、どんな職業が手当がよいのか、ということばかり考えていました。昔考えていた「夢」は自分が好きなこと、自分を生かせる職を思い浮かべていたのに、その当時の気持ちをすっかり忘れてしまっていました。

藤田先生のお話をうかがい、どこの大学に行きどんな学部についたかということより、その場でどれだけのことができたのか、学ぶことにどれだけの楽しみを見いだしているのかということの方が興味があるし大事だと言う点で私は大きく感銘を受けました。今までの私がどれほど打算的だったかがわかりました。自分で自分の可能性や未来をつぶそうとしていたことを痛感し、また、気付けて本当によかったです。このような場を設け、お話しして下さった先生には本当に感謝しております。

また、先生の日曜日になると次の日の仕事を思ってワクワクするという言葉はとてもうらやましく思いました。同時にすごい素敵だと感じました。大人になって毎日やならければならない仕事を義務だと重荷に感じることなく楽しみ、それを何よりの喜びとなされている様子に、私もそう思えるような仕事につけたらいいなぁと思いました。仕事を楽しめる人こそ、人生を謳歌できる人であり、より有意義に毎日を過ごせると思うのです。この点で先生は私の大きな目標です。  

・ 1ヶ月という短い間でしたが、本当に楽しく充実した時間を過ごせました。感謝の気持ちでいっぱいです。私は今まで他の特別講座を多々受けてきましたが、こんなに楽しくこころに残った講座はありません!!

編集のイメージも受ける前と大分変わり、出版社に勤めたいと思うほどです。 私は大学では商学部でマーケティングを学びたいと考えています。私はマーケティングを学ぶ上でも藤田さんがおっしゃっていた「思いやり」というのが重要になってくるのではないかと思いました。

やはりどんな職業でも思いやりというのは人として忘れてはならないことなのだと感じました。これから、気が合わない人とクラスが同じになっても「思いやり」を持とうと思います(笑)  

・ 私の疑問だった「雑誌ってどんな感じに作られているんだろう?」という思いから応募したこの特別講座で雑誌に関する以外の大切なこともたくさん教えていただきました。

藤田先生に教えていただいたことの中で私は「正反対のことをやってみろ」という言葉が一番印象に残っています。 今回の講座の経験は私にとってとても勉強になりました。人として大切なことや自分にとって大切なこと、本当に幅広いことを学べたと思います。

・  私が将来どんな仕事に就くかは全くわからないけれど、今回の講座のおかげでマスコミ系にさらに興味を持ったのは確かです。とりあえず今は自分の視野を広げるためにもいろいろなことに目を向けて、たくさん勉強していこうと思います。藤田先生からは、編集についてだけでなく、大学のことや将来のこと、人として大事なことまでたくさんたくさん教えていただき、本当にありがとうございました。

お忙しい中何度も品川女子学院に足を運んでいただき、ありがとうございました。この講座に参加して、すごく貴重な経験をすることができて、本当によかったです。