人は自分のためには頑張れない
国際支援NGO「JEN」の事務局長、木山啓子さんとお目にかかりました。以前も生徒にお話しをいだきましたが、心に残った言葉があります。
「被災した人々を癒すお仕事をなさってりっぱですね」と言われるが、8人家族で2人しか生き残れなかったような人を自分たちの力で癒すことなどできない。
絶望した人がそこから立ち上がれるのは他の誰かの役に立ちたいと思ったとき。
極限状態に置かれたとき、人は自分のためには頑張れない。それは各国で確認されている。人間のDNAに入っているのだと思う。
そして、「もっと若いうちから気づいていればもっとたくさんのことができたのに」ともおっしゃっていました。
私が本校の生徒と接していて嬉しく思うのは、
みんなのために仕事を引き受け、「大変だったけど喜んでもらえてうれしい」という子が多いこと。
将来の進路は?と聞くと、
「人を笑顔にする仕事に就きたい」「困っている人の役に立つ仕事がしたい」という答えがしばしば返ってくることです。
本校の創立の功労者、漆昌巌は11歳で立身出世を夢見て家を飛び出し、その後、僧侶、実業家、政治家と様々な職業に就きました。
「自分の幸せ」を追い求めた少年が、人生の後半からは「人の幸せ」に貢献することを使命とし、最終的にたどりついたのが「教育」でした。
その志を受け継いだ創立者、漆雅子は、仕事でどんなに苦労があっても、
「自分ばかり大変で不公平だ」とか「誰々のせいで何々できない」ということを口にすることがありませんでした。
「働くということは、『はた』を『らく』にするということ」
「仕事は天から与えられるもの。仕事ができる環境と能力を与えられたことに感謝して世の中にお返ししたい」
と言い、淡々とその時の自分にできることをやっていました。
この縁につながる品女生には、「人の幸せが自分の幸せになる」人であってほしいと願います。
*昨年の特別講座から生まれた『世界一受けたいお金の授業』の発行部数が37,500部となり、著者の和仁さんから印税の一部を新たにS&Sプロジェクトに寄付いただきました。『女の子が幸せになる子育て』も多くの方に読んでいただき、こちらの印税もカンボジアに学校を建てた後の継続的な支援に使わせていただいていております。
生徒が始めた国際プロジェクトを支援する輪が広がっています。こうしたことを体験した生徒からいつか木山さんに続くような人材が育ってくれるとうれしいです。