2009/10/24 土曜日

未来への贈物

カテゴリー: その他,保護者,校長のオススメ — 漆 @ 9:44:47

今朝、玄関で挨拶をしていたら、足ふきマットに生徒の足が触れて端がめくれあがりました。たいていの子は後ろの子の足が引っかからないようにすぐに直していくのですが、試験勉強に夢中だったのか、そのまま行ってしまったので私が直しました。

しばらくするとまた同じことが。すると、後ろから来た子がさっと直していきました。

登校のピーク時は誰の足か分からないのですが、引っかけた子に気づいて、声をかけると、ハッとして「すみません」とすぐに直します。

玄関で来客と生徒が同時になったときもそうです。ドアを開けて「どうぞ」と譲る子がいる一方、自分が先に入ってしまう子もいます。

先日も、私がドアを引いたひょうしにさっと先に入った子がいて、「マナーはどうなの?」と声をかけると、ハッとした顔をして「ごめんなさい」と言いました。

悪気はないのです。

なのに、あの子とこの子、このマナーの違いはどこからくるのでしょう?

もしかすると、「それまでに大人から声をかけられたかどうか」ではないでしょうか。

私自身、恥ずかしながら、新米教員のときドアを振り返らずにしめようとして、先輩に「扉を後ろ手にしめるなんて!」と叱られてはじめて、扉の開け閉めのマナーをしりました。

そこで、教員には、
「ルール違反、悪い言葉遣いやマナーはその場その場で一言かける。その積み重ねが生徒の将来への贈り物」

生徒には、
「注意してくれる人があなたたちのことを考えてくれている人」と言っています。

私の母は、教師でしたが、近所の子があぶないこと、悪いことをしていると、知らない子でも、運転していた車を止めて降りて注意していました。
(おかげで私は学校で「あいつの母ちゃんこわいんだぜ」などと知らない上級生に指さされたこともありました)

その娘の私。さすがに他校の生徒や、親と一緒の子供に注意する勇気はありませんが、「こわいおばちゃん」が絶滅危惧種になった今、せめて顔見知りの子には、余計なお世話といやがられても、きらわれても、一声かけようと心がけています。

さて、あるとき、生徒の言葉遣いを注意したら、「ありがとうございます」と言った子がいました。

子供の立場になれば、悪気なくやっていることを注意されたら、ムッとすることもあるでしょう。大人でも、つい言訳が先に出ることもあります。「ありがとう」はなかなか出ません。

この子は、きっと多くの人に愛され、助けられて幸せな人生をおくれるんじゃないかな・・・と大げさかもしれませんが、その時そう感じました。