2009/6/6 土曜日

社会科特別講座 東京大学(倫理学) 

東京大学文学部大学院教授、菅野覚明先生の特別講座が始まっています。

先生のご専門は「日本思想史」。倫理の教科書の著者でもあり、サントリー学芸賞も受賞なさっています。

今回の講座は5回シリーズで「日本文化における女性の役割」というテーマでお話しを頂きます。
初回は菅野先生、生徒達の自己紹介から始まりました。もともと倫理学に興味のある子もいれば、理系から参加の子もいます。

img_4021.jpg(2回目の授業の写真)

「人間は存外何でもないやうな事を知らない」という柳田国男の言葉をひき、「当たり前を知るのが学問の最終目的」というお話しがありました。(例はニュートンとりんご。みんなが当たり前だと思っていて、その理由を知らないことがたくさんある。それを極めるのが学問)

幸せとは?よく生きるということは?・・・問いが続きます。
大学では、人格の完成のため、①知識、専門の学芸と②知的、道徳的及び応用能力の二つを教えるそうですが、これからのこの講座は②が中心になります。

「大学は学問のてっぺん、まだ人間の知らないことをやるので教科書がない」そこでは、分からないことにぶつかる力が必要で、力のある人は「自ら問いをたてられる人」だそうです。

(その後、先生の質問に「そもそもこういう問いは成立するんでしょうか?」と「質問返し」した子がいて、「そうか、自ら問いを立てろって言っちゃったからなぁ」とウケていらっしゃいました)

例題として、クローン牛に関する記事を読んで、その是非について議論しました。こうして、ところどころで、生徒一人一人が自分で考えた意見を述べ合い、先生がコメントを付けてくださいます。

また、この講座の目的の一つに「大学のゼミを体験する」ということもあるので、「ゼミで発表者になって題材に困ったら、これが使える方法です」といった実践的なお話しもあり、生徒はせっせとメモしていました。

私は、国文科出身、高校時代から古典や倫理が大好きだったので、個人的にも先生のお話には興味津々。講座の開講を生徒と一緒に心待ちにしていました。

普段考えることのないようこと、当たり前と思っていたことをあらためて深く考え、脳が汗をかいた感じです。
(やはり、生徒の方は頭が柔らかくて反射能力がありますねぇ。参りました。)

私たちの学校では、28歳から逆算して社会で必要なスキルを学ぶ機会も多いですが、この講座で学ぶような人間の本質を考える学問の土台があってこそ、実学は活きてくるのでしょう。