総合学習 2年 着物の文化
*保護者の皆さま、本日、お子様に「学校からのお知らせプリント」をお渡ししました。ご覧ください。
2年生の総合学習は「日本を知る」です。今年も「着物ライフスタイルコンサルタント」津田和壽澄さんから「五感にまとう~きものの魅力・魔力・威力」というテーマでお話しをいただきました。
右側の黒の留め袖は昔の花嫁衣装で骨董市で買ったもの。左の水色の打ち掛けレンタル品のリサイクル。このように上手に買い物をすると着物や帯が数千円から手に入ります。(しかも、昔のものには、今は手に入らないような技術を凝らしたものがあります)思ったより、手軽でしょう?若い人には気軽に着物を着て日本文化を伝承してほしいです。
私も同席していたのですが、自分で書くと去年のブログと似た感想になるので、担任ブログから詳しいものを一部省略して紹介します。
講演の前に、教室で外国人向けに制作され、先生が出演されたテレビ番組をビデオで見ました。着物がもつ色彩感覚(季節ごとに変わる自然の色合いを反映させたり、相反する色をあえて合わせるなど)や同じ着物でも帯や小物を変えるだけで印象ががらりと変わることなどに、生徒たちも興味を持ったようでした。
実習生の○○先生からも成人式や卒業式の話をしていただいたり、私からも「欧米の意識だとメリハリボディは理想とされるが、着物を着るときはウエストがくびれていると美しく着られないからタオルを巻かれる人が多い。私はその意味で着物がよく似合う体型だと褒められることがある(笑)」という小話をした上で、お待ちかねの講演を聴きました。
ピンク地の着物に、ティアラを加工して作ったという帯締めをして津田先生が登場すると、生徒たちも興味がますますわいてきたようです。
先生からは1着の着物は直線に切った反物を8つのパーツに分けて合わせたものであり、合計すると1着に13メートルの反物を使うというお話がありました。実際に13メートルの反物を広げて見せて下さると、生徒たちはあまりの長さに皆びっくり。
また、直線に切ってあるので、体型を選ばず着ることができ、着古した後はほどいて、布団や座布団にし、その後更に赤ちゃんのおむつ→雑巾→はたきと使い、最後は土に返すことができるので、非常に地球に優しい服であると聞いて更に皆びっくりしていました。
よく、修学旅行や海外研修・留学の際に浴衣を持って行って着てみせると、現地の人に喜ばれるという話がありますが、これはそのものが持つ艶やかさももちろんですが、日本の民族衣装であるということが喜ばれる理由なのだそうです。
1人1人が着ることによって「これが日本である」と示すことができるわけです。先生自身、別の仕事をされていたとき、様々な国の人たちと話していく中で、英語を使えるのは当然で、後は英語で何を話すかが大切であり、周りの人は日本がどういう国なのかを一番知りたがっているということを痛感されたそうです。
更に、着物を見るだけで、その人がどのような人なのか、どのような世界観を持っているのかも見えてくるそうです。振り袖や小袖など、丈の違いで年齢層や既婚・未婚ということが分かりますし、フォーマルな着物の場合、家紋が入るのでどこの家の人間かも分かります。
そして、色の合わせ方、小物の使い方などで、その人が季節感や自分の存在感(主役なのか脇役なのか)をどう捕らえているのか、その場はフォーマルな場なのかカジュアルな場なのかを理解しているかどうか、全てが見えてしまうのだそうです。日本人のこのような感性は江戸時代に磨かれたそうですが、非常になるほどと思いました。
私がもう一つなるほど、と思ったのは、洋服の時ときものの時では歩き方が違う、ということでした。よく草履を履くと後ろに脱げてしまったり、鼻緒の部分があたっていたくなったりすることがありますが、これも全て洋服の時の歩き方で歩いてしまっているからなのだそうです。洋服の時はかかとから入ってつま先へ重心を移して歩きますが、きものの時は蹴飛ばすように、つま先から入るのです。確かに、そうですよね。
津田先生は、6月以降の道徳の授業で浴衣の着付けについても教えて下さいます。「皆さんの心に眠っている和のスイッチを押す役目」とご自身を称していらっしゃいました。終了後の生徒たちの感想を読むと、1日だけでもすでに多くの生徒のスイッチが入ったように感じました。多感な時期に多様な刺激を受け感性を豊かにできる、良い機会だと思います。
津田さんと私の「着付けの師匠」は本校の卒業生。今は80代ですが、若い頃は美容業界の重鎮として活躍した方です。この方との出会いも、卒業生だから頼んだのではなく、着物雑誌の編集をしていた知人に、「生徒に和の文化を紹介したいから着付けを習いたい」と頼み「すばらしい先生がいる」と紹介された方が、たまたま卒業生だったんです。ご縁ですね。
着付けの授業は私も手伝います。