2013/9/12 木曜日

⑫大学出張授業(成蹊大学・経済学)

カテゴリー: 授業・学習・進学 — 漆 @ 17:08:22

今日はまた夏の暑さが戻って来てしまいましたね。

今朝は、高等部の子に、起業体験で販売するグッズの使用実感を語るよう頼まれ、それを動画に撮られました。

校外の方にもこの調子でお願い事をしているのでしょうか?ご招待とお礼の報告はしっかりね。

大学教授出張授業、経済学、成蹊大学を担当の大川からご報告します。

以前、竹中平蔵さんが大臣のとき、本校で授業をしてくださいましたが、「朝食のパン一枚から経済につながっている」という言葉が印象に残っています。

経済は生活のすべてにつながっています。生徒達は、平尾先生の授業を通して、視野を広げ、全体感を持って経済活動を考えることの必要性に気づいたのではないでしょうか。

成蹊大学の平尾由紀子教授をお招きして、「経済学の視点から環境問題を考える」というテーマで講義をしていただきました。

最初に専政ならびに成蹊大学の紹介をしていただき、次に経済学で何を学ぶことができるのかということで、マクロ経済学、福祉経済学、財政学、金融などの各学問の概要を話していただきました。

また、経済学部を卒業した学生の進路についても、具体的な例を挙げていただきました。
講義では2つの大きなテーマでお話しいただきました。

まずはじめに環境問題についての経済学的アプローチについてです。
豊島産業廃棄物事件(瀬戸内海にある豊島において産業廃棄物が不法投棄され、行政も不法投棄業者も20年以上にわたって放置した事件)とアルミ缶リサイクルを例にとり、関与する人たちの利得表を示しながら、「自分だけ損をしたくないから何もしない」という思考が生まれ、その結果、現状維持や現状放置の状態が進み、結果として環境がどんどん悪化していくということを示していただきました。

 アルミ缶リサイクルの問題では、デポジット制を採用したことで、ポイ捨てが減り、また、ゴミの分別が進んだということを事例としてあげていただきました。

関与している人たちが、皆、何らかのアクションを起こすことによって、わずかでも利得を生むことが理解されれば、環境問題の解決の糸口につながるということを教えていただきました。

また、アフリカで象の密漁による乱獲が進んだ結果、象の生息数が激減しているという問題では、南アフリカ政府が、高額のライセンス制により象の狩猟を許可した結果、乱獲が減り、象の個体数が増加したという例も示していただきました。
同様の例としてロンドンに流入する自動車に課金をするERP(大都市圏車通行制度)の導入の結果、渋滞が2割解消したということも紹介していただきました。

二番目のテーマとして市場に対する規制とその経済効果というテーマでお話しいただきました。(少し、長くなりましたので、ここからは簡潔にすすめます。)
価格規制・家賃規制・最低賃金制など、様々な規制がありますが、規制が行きすぎると、弱い立場の者を守ることにはならず、かえって苦しめる結果になるという、お話でした。
例えば、最低賃金を高くすることで、求人が減り、就業希望者が増えることになるので、最低賃金を上げすぎると、失業者を守ることにつながらないどころか、かえって失業率が上がるということを、具体例を挙げながら、説明していただきました。

生徒たちにとって、大変わかりやすい講義をしていただき、有意義な時間となりました。