⑪大学出張授業(明治大学・社会学部)
今日は水曜日。HRの時間は文化祭の準備で大忙し。私のところにも次々と生徒がきて「先生、文化祭のことでお願いがあるんですが・・・」
中には、「先生の頼む力を貸してください」というのも。う~ん。さすが、品女生!お願い上手で断れません。
今日は中学生に動画を撮るので、一緒に踊ってほしいと言われました。(理事長まで)
さて、一学期の大学出張授業の報告があと数校、ありました。
担当の山田からの報告です。
明治学院大学社会学部社会学科 藤川 賢 教授
「社会学フィールドワークの事例:東日本大震災後の社会調査実習から」
社会学とは、社会を学ぶ科学的方法であり、私たちのための科学である。近代市民社会が成立するにつれて、「近代とは何か?市民とは何か?女性の役割は?都市と農村はどう違う?…」など、さまざまな新しい疑問に答える学問領域として成立してきた、というお話しから講義が始まりました。 ◇社会学の特徴
・社会における疑問について、何を研究対象にするのかは自由
・ただし「何でもあり」の学問ではない。科学としての方法を使う◇社会調査実習(フィールドワーク)
自分の研究対象を、リサーチ・ヒアリングなどの手法を使い様々な角度で検証することになるのだが、その一つにフィールドワークがあり、1年生で調査の基礎を学び、2年生で技術を身につけ、3年生で社会調査実習を行っているとのこと。
その実例として、東日本大震災後に学生が行った社会調査実習が挙げられました。調査は次の5つのテーマに分けて行われたそうです。
・津波対策に関する防災計画見直し…おもに静岡県で
・都市における防災計画見直し…住宅密集地と都心部などの比較
・帰宅困難者対策
・コミュニティや商店街など日常の取り組みと組織
・在日外国人への防災情報各地の取り組みや対策の見直しを調べる中で浮かび上がってきたのが、「自助・共助・公助」というテーマ。
・自助-家庭で日頃から災害に備えたり、災害時には事前に避難したりするなど、自分で守ること
・共助-地域の災害時要援護者の避難に協力したり地域の方々と消火活動を行うなど、周りの人たちと助け合うこと
・公助-市役所や消防・警察による救助活動や支援物資の提供など、公的支援のこと
近代社会では「公助」が整備されてきたが、例えば消防団が助けに入っていくことができないような場合もあり、そうした時には「自助」がどうしても必要になったことから、「自助」が見直されている…など、東日本大震災後の、社会における防災に対する意識や取り組みの変化が浮かび上がり、今後の災害対策への展望につなげたそうです。実習のお話しの後、藤川先生から生徒に「自助・共助・公助」に関するアンケートが実施されました。回答後、何人かが指名され、自分の答えについての意見を求められたのですが、先生は生徒の答えから「社会が共助から離れている」ことに気づかせ、また「社会が抱えるジレンマ(例:マンション等で共助の体制を取りたいが、情報を知らせてしまうと高齢者が振り込め詐欺の被害にあってしまうかもしれない等)も存在する」というお話しにつなげていました。講義だけでなく、実際に使用する手法の一つを使って検証していただいたことで、社会学という学問についての理解が深まったのではないでしょうか。