②大学出張授業(東京女子大学・外国語学)
一学期末に行った大学教授出張授業の様子をシリーズでお伝えします。
東京女子大学・外国語学です。
「外来語は、かえってわかりにくい」こういうこと、ありますね。Mansionが豪邸という意味だとか。私も、日本語読みが定着してしまって、sleepのsとlの間にどうしてもウが入ってしまうのを何度も直されたことがあります。
ふと、思い出したのが、クラスメートの笑い話。
あれは、高一の夏。語学研修に出かけたときのこと。イギリス人の先生が煉瓦造りの家を指して、「これは英語でなんと言いますか?」と聞いたとき。
隣の友人が、「brick」ではなく「renga」と答えたのです。しかも思い切りR音をきかせて。あまりにそれらしかったので、一同、ポカーン。もちろん、イギリス人の先生には理解できません。数秒後、日本人の一人が、「あ~あ、煉瓦ね」と言って、大爆笑になりました。
外来語を英語と思い込むどころか、日本語を英語だと思いこんでいたのですね。
そのくらい、日本には外来語が多く入ってきているということでしょうか。なじんだ外来語の語源を探ることで英語のボキャブラリーを増やすなど、活用できるかもしれませんね。
では、担当の重田からの報告です。
外国語学 東京女子大学 熊谷智子教授 テーマ「外来語のフシギ」言語科学とは、「人と社会と言葉の関係を考える学問」であり、社会の変化によって言葉も変化していくという視点が大切であるというお話から講義が始まりました。 以下は、講義の概要です。
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◇外来語とは
「スポーツ」「システム」など、外国語(中国語を除く)の単語が日本語に入ってきて、日本語の語彙として使われているもの。
*ちなみに中国語の外来語は「漢語」と呼ばれ、外来語という感覚はほとんどないが、
日本古来のことばは、「和語」として区別されている。◇日本人にとっての外来語
〈外来語を使うメリット〉
・話が通じやすい
・ 新しさを感じさせる
・これまでに無かった概念を表すことができる
〈外来語を使うデメリット〉
・相手によっては意味が通じない
・読みにくく、覚えにくい
・正しい英語を学ぶ妨げになる◇外来語はどんな形で日本語に変身しているか
動詞 「~する」「~る」をつける
例=ダイエットする サボる◇外国人日本語学習者にとっての外来語形容詞・副詞 「~な」「~に」をつける
例=ロマンティクな エキセントリックに
一部省略 「s」「ed」を省略
例=サングラス マッシュポテト
*「ed」がそのまま残ったもの(フライドポテトなど)もあり、規則性はない
短縮・混種語 例=エアコン パソコン アイドル歌手
和製外来語 例=ガソリンスタンド ホームドラマ・発音が違い、音節も増えている
Spring=1音節 スプリング=5音節
・カタカナ表記に規則性がない
Summer=サマー Hammer=ハンマー
・意味が違っていたりする場合が多い
例=smart 日本語では細い 英語では賢い
*外国人の日本語学習者にとって、外来語はかえって難しく、覚えにくい。
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最後に、逆に日本語が外国語の中に溶け込んでいる言葉もあり、中でもかなり古くから海外で定着している言葉の例として「tsunami」を挙げてくださいました。
言葉は、それを話す人々の暮らしともに・・・
やはり、日本人がこの現象に太古の昔から悩まされ続け、海外の人々が驚きの目をもってそれを見てきたことを痛感させられました。
*世界経済フォーラム日本 のChairpersonでもある緒方貞子さんの番組をお知らせします(8月17日(土)の再放送)。曾祖父・犬養毅首相と一緒に撮った写真から満州事変研究をしていた時代
8月23日(金)
NHKスペシャル「緒方貞子 戦争が終わらない この世界で」