2013/4/2 火曜日

25 教科イチ押し見学会(東京国立博物館)

カテゴリー: 28プロジェクト:社会,授業・学習・進学 — 漆 @ 17:48:25

教科イチ押し、引率の田中からの報告です。

東京国立博物館で小・中・高の生徒に博物館に親しんでもらうことを目的としていくつかのスクールプログラムが用意されています。その中で今回中等部はお皿の絵付けを行いました。

絵付けといっても何を描いてもいいわけではなく、展示されている文化財に使われている模様を取り入れたデザインを描くという課題のもとに行うというものです。まず、1時間半程度、展示物を鑑賞し、その中で気に入ったものを自分なりに組み合わせたり、アレンジしたりして図案を考えます。その後30~40分でお皿に絵を描いていきます。お皿には下描きもできず、いきなりペン(といっても水で湿らせた布で消すことは出来ます。)で描くのですが、なかなか図案のようにはいかず結構難しかったようです。最後に一人ひとり作品についてのコメントを述べ合ってプログラムは終了です。できあがったお皿は焼き付けられ年明けに送られてきました。どの作品もなかなかのできばえです。

東京国立博物館には主に、日本及び東洋諸国の歴史的文化財が展示されています。仏像、焼き物、掛け軸、装身具等が展示されていますが、それらどれをとってもその作品にかけられた時間や技術、作者の思いなど、一言で“すごい”などという感想を述べてはかえって失礼になってしまうようなものばかりです。
中高生がそんな日本をはじめ東洋諸国の伝統文化に触れる機会を持つこと自体に大きな意味はあることは間違いないものの、ただ見るだけでは後に何も残らず、“次”の機会を持つきっかけになりにくくなってしまいます。
よく考えられていると思いました。お皿に絵付けをするという作業と文化財の鑑賞をうまくミックスし、作品の全体をぼや~っと見るのではなく、日本古来の伝統模様に焦点を当てて鑑賞し自分の作品に取り入れることで、自然とひとつの作品をより深く鑑賞できるようになっていました。
生徒にとっても、“鑑賞”という受け身の姿勢ではなく自分の作品の“製作”という能動的な姿勢で博物館にかかわることができたことは今後につながる経験になりえたのではと思います。

最後に、生徒の感想を。

“お皿をただ作るだけでなく、博物館にある展示物の模様を見てから作ったので、自分だけの作品ができてよかったです。”(1年生)
“博物館では作品をじっくり、ゆっくりみることができ、スケッチをかくことで作品の細部まで見ることができました。”(1年生)
“陶器をメインにスケッチしながらまわったので、(他の)作品をじっくり見れなくて残念でしたが、古典の世界を目で見て体感することができました。今後も『模様』に注意しながら作品をみていきたいです。”(3年生)
“今までは展示物について説明文に書かれていること以上のことはわからず、作品もパッと見て終わりでしたが、今回の体験ではひとつの作品を自分の着眼点でじっくり見られておもしろかったです。”(3年生)