お父さんの会 思春期の子育て
お父さんの会では、思春期の子育てについての講演もありました。
みなさん同じようなお悩みがあると思いますので、以下に私のメモをシェアします。
思春期には同性間では「同じであること」が大切に思え、自分と違う友達とは距離を置きたくなる。一方、異性とは違いを感じ距離をとるようになる。そのため、お父さんとも距離をおきたくなる。
テンションが高く元気に見える子も、実はそれを演じていることもある。一緒にいる友達と気があっているとは限らず、一人でいるのが不安で無理をしていて疲れてしまうこともある。自分が浮いているのを感じていても一歩仲間に近づく勇気が出ない子もいる。
子どもが音楽など好きなことをしているとき、「そんなことに夢中になるならもう少し勉強してくれたら」と思うかもしれないが、好きなことがあることが支えになったり、友達との接点になったりしていることもある。
そんなこと・・・と、攻めるようないい方をすると、隠れて熱中するようになることもある。親には理解しがたいことでも、「どこに興味を持っているの?」と質問をしたりして、家庭内でオープンにできるようにしておくことで、隠れてやり過ぎるということも避けられる。
お父さん自身も、子どもの頃は好きなことがあったのでは?そんな体験を話してあげるのもいい。うまくいったことだけでなく、失敗したことも。
プライドが高い子もいる。しかし、そこに不安が隠れていることもある。逆にどうせやってもダメという自信のないのも不安の表れ。「プライドが高い」という意味のプライドより、自分を確立し、かけがえのない自分を大切にするという「自尊心」を育てたい。
帰りが遅いとき、「なんで遅い!」と、いきなり叱って親の気持ちが伝わることもあるが、反発だけが残ることもある。「心配した」という気持ちが伝わり、子供に考える余地を残す叱り方をする。
朝、なかなか起きられない子もいる。「楽しいときは起きられるのに・・・」でなく、「楽しいときは起きられるから自分で決めたら自分で起きられるよ」と自信を持たせてあげる。
最後に「反抗期がなければどんなに家庭は平和だろう、そして、反抗期がなければ子供はどんなに惨めだろう」という文章の朗読があり、みなさん、静かに聴き入っていらっしゃいました。
思春期は親から離れて一人の人間としての人格が育つ時期です。その中に反抗期といわれる時期が含まれているのです。これまで、子供を危険から守るために「禁止」「命令」の言葉で育ててきた、その子育てスタイルを変えることを要求されるのが思春期の子育てです。
(ちなみに、中三にとったアンケートで、やる気をくじく親の言葉のトップスリーは、○○しろ、○○するな、やろうと思ったときにやれろ言われる、です)
これまで親の言うことを聞くよい子だった子が、あれこれといちいち口答えするようになる。親にとってはショックでしょうが、それは、多面的に物が見られるようになった、自分の意見を表現できるようになった成長の証でもあります。
「親の言うことが正しい」から「自分の言うことが正しい」へと大きく振り子をゆらし、だんだんと人の立場が分かるようになり、自分の意見も言えるようになっていきます。
「親の言うことは聞いてほしい」「友達に言いたいことが言えないのは心配」はある意味矛盾した要求です。
私の知人に、親に全く口答えせず、期待通りに勉強し続け、国立大に入り、アイビーリーグの大学に留学した時点で、限界が来て退学した人がいます。今は、幸せに暮らしていて「今思えば、失った物は大きかったけれど、あの時に決断してよかった」と言っていました。
自我が目覚めるのは早いほうが怪我も小さい、そんな長い目でお子さんを見てはどうでしょう。
高等部になると、「3年生の時はなんであんなにいきがってたんだろう?」と自分で不思議がっている子もいますから。