2012/12/8 土曜日

生物実験特別講座

カテゴリー: 授業・学習・進学 — 漆 @ 17:53:20

昨日の文科省での勉強会には、27歳でビルゲイツ財団の出資をうけて学校を作り、生徒を七年間で60名から500名にした校長先生が、アメリカのカリキュラムのお話しをしてくださいました。

アメリカには国の教育方針というものがなく、財団や州の出資でこのような学校が公立として運営されているそうです。それでも、このところ、自発的に多くの州がこのようなNPOの開発したカリキュラムやテストを実施する傾向にあるという内容でした。

この方はコロンビア大学の教育学部で学んだそうですが、実質的に校長としてのトレーニングを積んだのはNPOの校長養成プログラムだったそうです。アメリカでは、これと同様の教育系のNPOが全米就職人気トップランクに入っています。

こうして諸外国の話を話を聞くにつけ、資源の枯渇していく未来社会において、どの国も教育にますます力を入れていることを実感します。日本も本当に未来社会にどんな人材を送るのかという逆算思考で考えなくてはいけない時代に来ています。

カリキュラムも、各教科の学習をバラバラにしていくのではなく、どういう力を付けるのかという目標から逆算して、教科横断的な力を付けていくものになっていくでしょう。

世界に必要な人材とは?その未来のための教育とは?それにふさわしい校舎とは?という長期的なビジョンでこれからの学校をみんなで考えていきたいと思っています。

さて、理科シリーズ。

志望校が決まった生徒と話をしていると、こうした大学の先生による授業がきっかけだったと語ることが多いです。女性は特に、将来、家庭と両立して好きな仕事を続けて行くためにも、専門分野を深めることが大切です。

社会人のみなさまや大学の先生方のご協力で、本校は在学中にこうした機会を沢山もうけています。少しでも興味が持てそうなことにはどんどんチャレンジしてください。

「登ってみると次の山が見えてくる」卒業生の名言です。

担当の横井からの報告です。

生物実験特別講座『顕微鏡を使用したニワトリ胚の観察』
講師:首都大学東京 都市教養学部 理工学系生命科学コース 准教授 福田公子先生

ニワトリの卵は誰しも見たことがあると思いますが、卵からヒヨコになるまでを見たことがあるひとはなかなかいないのではないでしょうか。

  そこで、3・4年生28名を対象に、福田先生にお越しいただき、発生途中の胚(ヒヨコになる途中)を見せていただきました。
   まずは、卵から胚を取り出す作業です。
実験器具を扱いやすいようにスタンバイしたら、卵をひっくり返してピンセットで殻を割り、むいていきます。
胚を傷付けないようにするため、ひっくり返したところから殻をむき終わるまでは時間との勝負です。
するすると手慣れた様子でむいていく人もいれば、手を卵白まみれにして苦戦している人も。

何とか全員が胚を取り出すことに成功し、続いて実体顕微鏡を用いて体節の数を数え、胚のステージ(発生段階)を決めていきます。
顕微鏡を用いても小さなつくりなので、生徒たちは目をこらして一生懸命数えていました。
ステージが決定したら、スケッチです。
大きなケント紙が一人1枚ずつ渡され、そこにできる限り大きくスケッチしていきます。

  ただ見るだけだとぼんやりとながめて終わってしまうので、頭を使って観察するためにスケッチをするのだということを教えていただきました。そのおかげで、30分という長い時間にも関わらず、集中力を途切れさせることなく取り組むことができていました。

スケッチ終了後、3名のスケッチを見本にして、心臓の位置など細かいところまで正確にかけたかを全体で確認しました。
すると、しっかり見てかいたつもりでも、意外に間違っているところが多いことに気付かされました。

最後に、今日習った方法を用いると1日だけ卵の外でも胚を育てることができるが、どのような実験をしたいかグループ毎に話し合い、発表しました。話し合う時間はたった5分だったので、どのような答えが出てくるのかと思いきや、とても興味深いものがたくさん出てきました。そして、一つ一つの答えについて、丁寧に解説してくださいました。

普段なかなか手にすることのできない材料や福田先生の素敵なお人柄に触れ、理科への興味・関心が高まったのではと思います。
福田先生、そして研究室のみなさま、お忙しい中ありがとうございました。