2012/8/21 火曜日

⑩大学出張授業(津田塾・国際関係学)

カテゴリー: 授業・学習・進学 — 漆 @ 15:38:54

担当の中村からの報告です。

国際関係学 津田塾大学 西川 賢先生

講義のテーマは「外国を理解するということ」。私たちはアメリカを『理解』しているのか、ということをキーワードに、国際関係学とはどのような学問なのかをお話しいただきました。
国際関係学とは、国と国との間にどのような関係があるのかを学ぶ学問です。そして大事なのは、“他国を知る”ことで“自国をよく知る”ということ。そのための学問だ、と仰っていました。「知識」というのは、何かについて知ることであり、頭の中につめていくものです。
それはおおよそ高校までの勉強に当たるものなのかもしれません。

覚えざるを得ないものではあるけれど、人生の目標において役に立つのかと問われれば、難しいものです。でも、大学で学ぶ勉強というのは「知識」ではなく「教養」です。つまり「知識」の上に立って、自分の「立ち位置」を知る。人生のヒントを学ぶことなのだと仰っていました。
他の国を学び、それを自分の役に立てていく。自国を知り、自分を知る。それが国際関係学の目指すところなのだそうです。
ただ、その情報(報道)は、どうしても日本のフィルター(イメージ)を通してなされている感が強いのです。事実を報道していても、その言葉、書き方ひとつで私たちの受け取るイメージは大きく誘導されているのかもしれない。つまり、その情報が本当に正確なのかどうかを、しっかり確認すべきなのです。
たとえば、多くの日本人が持っているアメリカに対するイメージを考えてみると、「自由」「成功」「アメリカンドリーム」「格差社会」「犯罪率が高い」「銃社会」など、いろいろ上がってきます。日本と異なるこれらのイメージは、国の歴史に起因しているものであって、一概にイメージだけを捉えるのも間違いのもとなのかもしれません。必ず、背景には歴史と文化があるのです。
アメリカを捉えるうえでの大きなキーワードである「自由」。「自由」は「何かをしても良い」ということ。しかも「他人に迷惑がかからない限り」です。それがどの程度まで許されるのか、つまり何が「自由」なのか、ということを、様々な「情報」からひも解いていかなくてはなりません。
自分の足で調べ、頭で考え、情報を取捨選択し、そして結論を出す。それは具体的には何がよくて何が悪いのか、ということに帰着するのかもしれません。
たとえば、殺人、麻薬、たばこ、イレズミ。日本とアメリカの違いを考えるには分かりやすいこれらの例も、どこまでがオッケーでどこからがアウトなのか、という倫理・道徳に繋がっていくのでしょう。
他国を正確に理解することは、自国を知ることに繋がり、そして、「自分」を知ることに繋がっていく。
国際関係を学ぶことで、自分のものの考え方がはっきりしてくる。それは、自分が生きていくうえで、とても大事な「教養」(=人生に役立つヒント)になるに違いないのです。