2008/5/13 火曜日

現代社会の授業

カテゴリー: 授業・学習・進学 — 漆 @ 13:32:40

最近の4年生の現代社会の授業の様子を担当の窪田からご紹介します。教科書で学ぶだけでは南北問題の理解は難しいので、このような体験授業を通して相手の立場に立つことを、実感として学んでいます。

 

11.jpg

4年生の現代社会では、毎年、最初にトレーディングゲームを実施しています。これは、国としての条件が違う中、貿易をしながら生産をあげ、最終的に所持金が最も多い国が勝利するというゲームです。

国際経済を学ぶ上で必要な感覚を養うことが目的です。 まず最初に班ごとに分かれ「与えられた道具を使って、製品を作り、マーケットに売りに来て下さい。品質の良い商品は、高く買い取ります。」というルールを確認します。教員は、「国連(全体の指示役)」と「マーケット(市場;製品を買い取る場所)」という役になります。

各班に与えられた道具と資源は、それぞれ条件が違います。道具は「はさみ、定規、分度器、鉛筆」などで、資源は「紙」です。最初の所持金も違います。商品は13cm×8cmの長方形は3枚一組で300ドル、直径9cmの円は3枚一組で1,500ドル、などと設定されていて、生徒たちは協力して作成し、マーケットに売りに来ます。最初から資源は多いが道具が少ない国(はさみや定規がない、など)、道具は多いが資源が少ない国などがあり、生徒たちは困りますが、そのうち国同士で交換や交渉などを始めます。
 

「貧しい国」にあたった生徒たちは最初途方に暮れますが、最終的には最もチームワークがよくなり、団結して取り組みます。市場では商品の数量により、価格も変動します。ここがまた、生徒たち(各国国民)の工夫のしどころで、この価格変化は市場の動きを見極めることの重要性を学ぶことにもつながります。

さらに、国連から「貧しい国への援助として、はさみを貸与します」や、「○○国で大災害が起こったため、他国は支援しなさい」などの指令も出され、それによって条件に変化も出ます。最後には、戦争が起こってマーケットも停止。ゲームは終了します。

*実際に生徒たちがした工夫の例をご紹介します。

 「10分間という時間制限付きで、定規を借りる」「資源と道具を交換する」「はさみで直径の長さを取り、コンパスとして円を描く」「鉛筆を折ってはさみで削り、本数を増やす」など、その他様々なことがありました。

*生徒たちの感想をご紹介します。

 「先進国で最初から道具はあったけれど、発展途上国には最初から道具がほとんどなくて、先進国が進んで協力しなければならないと思った。」

「他国と協力しながら生きていかないと、経済成長は難しいと思った。」

「交渉はなかなかうまくいかないと思った。貧しい国だと大変だと改めて感じた。」

「他の国と争いなく交渉するのは、思ったより難しかった。」

 

このゲームを通じて、「各国が協力することの大切さ」「条件が違う中で貿易をすることの難しさ」「豊かな国の貧しい国に対する姿勢」などを、身をもって体験できたようです。

このゲームは、エンカウンター的な要素もあり、生徒同士の中も深まります。楽しそうに帰って行く生徒たちが印象的でした。