早稲田大学連携授業・国際教養学部
早稲田大学連携授業の続きです。
読んでいて、以前、全校に募集して行った「中国経済視察研修」を思い出しました。
歴史好き、地理マニア、カンフーファンなど20数名のユニークな生徒が集まった珍道中でした。
歴史的建造物、博物館など、おきまりのコースだけでなく、精華大学、北京大学を教授や学生に案内してもらったり、現地の中学と交流したり。農村、都市、日本企業の工場、と経済的視野で様々な角度から中国を見ました。
現地の生徒、学生の勉強に対する熱心さを間近に見た生徒の中に、
「先生、このままだと、日本は負けますね。私たちが頑張らないと。勝てるのは環境分野でしょうか」
と、帰国してから勉強のスイッチが入って希望の大学に合格した子がいました。(勝ち負けじゃないんですが・・・。国家間のライバル意識でスイッチが入るとは品女らしい?・・・)
担当渡邊からの報告です。
中国山間地農村の持続可能な発展 資源管理と共同体を中心に
早稲田大学 国際教養学部 菊池真純先生まずは菊池先生の略歴をお話くださいました。そのなかで、中国への留学・専任講師としての経歴から、中国農村部の資源管理に興味をお持ちになったとのことでした。
環境や資源に注目したのは、あらゆる争いの根源にあるのは資源だと考え、森林資源や水資源、農業資源といった自然資源に着目するようになったとのことです。平野でなく農業を行う上で不利なところである山間地農村に着目し、その中でも中国に興味を持ったとのことでした。
大学で論文を書く際にどのような構成で書いてゆくのかわかりやすく説明してくださったあとに、菊池先生は生徒に、中国に行ったことがある人はいますかと聞き、中国に興味を持つように問いかけ、観光地となっている都市部と山間部はいかに異なるのか、説明をしてくださいました。中国は、急速な経済成長で国際社会に台頭するなか、農民戸籍と都市民戸籍に分かれていて、約10億人が農民戸籍の農民です。農民戸籍のなかでも、漢民族は長江流域の豊かな地域で生活するのに対し、漢民族以外の55の少数民族が主に山間部に追いやられて定住しているそうです。
これまでの研究では、中国山間部の共同体意識は希薄であり、個人主義が強調される、というのが先行研究の考えでした。菊池先生はこれまでの中国への留学や大学で教鞭をとった経験から、この先行研究は正しいのか現地調査に行って調べ始めました。菊池先生の研究地域は、広西省の大寨村で、大寨村は1999年に電気が、2003年に道路が開通した地域で、それまでは自給自足で生活をしていたところです。この村でどのように資源を管理しているのかというと、村全体で森林を共同管理しているということが現地調査から分かったとのことでした。棚田には水資源が必要不可欠なことから、森林は農民それぞれに割り当てて共同で水が枯渇しないように管理するとのことでした。さらに、大寨村では明の時代から口伝えの決まりが存在し、そのなかには共同で森林を管理してきたことを村の長老から聞き、これまでの中国山間部の先行研究に反論しました。
このように、大寨村は資源の共同管理ができたのも、厳しい自然環境を克服するために、強固な村落共同体を形成する必要があったからだと結論づけました。さらに、講義のあとに早稲田大学国際教養学部の特徴をお話くださいました。
・国際教養学部は学生の3分の1が留学生であること。
・学部内では英語が共通語になっており、授業もほとんどが英語で行われる。
・日本の高校・中学を卒業した人は1年間留学しなければならない。
・学部では7つの分野を勉強してゆく。
・文系の学部だが、数学や統計は必須。
このあとに、講義への質問を受け付けてくださり、終了となりました。生徒にとって、有意義なものとなったようです。
講義を聞いた生徒の感想文です。
・いままで自然資源=理系の分野と考えていたが、違うことがわかった。
・研究論文で何を書くべきか教わり、それにあわせて具体的な研究内容を説明してくださったので、とても分かりやすかった。私が知っている中国とは全く違う中国を知ることができました。国際教養で学ぶことがわかり、興味を持ちました。