情けない話
先日、生徒の下校時、学校前で信号待ちをしていると、驚きの光景が。
なんと、パンを食べている生徒がいます。
「お行儀悪い!しまいなさい!」と叱りましたが、新入生なら「小学校のとき、塾の行き帰りに時間がなくて・・・」という可能性もあるかもしれませんが、よりによって高3です。
6年間、私たちは何を躾けてきたのだろうとがっくり力が抜けました。
また、最近、品川区の福祉法人からこんなお電話をいただきました。
品川駅の手すりに寄りかかったり、誘導ブロックの上に立ったりしている生徒がいて、視覚障害者の方の邪魔になっている。中には注意しても反抗的な態度をとる子がいる。
子どもは大人が驚くようなことを悪気なくやってしまい、叱られてからことの重大さに気づくということがあります。そういう間違いを繰り返しながら、一歩一歩、年齢相応の社会常識を身につけ、成長していきます。
しかし、年相応というにはあまりに幼い、悪いと知ってやっている、注意されても謝らない、そういうことがあることも事実です。
繰り返し、繰り返し声をかけ、自ら気づくような体験の場をあれこれ設け、なのにどうして・・・。と、情けなくて涙が出そうになります。
一方、そのお電話で、こんな話もいただきました。
新宿駅で具合の悪くなった人を介抱してJR病院まで連れて行ってくれた4年生がいた。
「おかげで大事に至らず退院することができた。見て見ぬふりをする大人が多い中、本当にありがたかった」と家族から是非お礼を伝えてほしいと頼まれた。
ボランティアに来てくれている3年生、6年生もいる。また、正職員として頑張っている卒業生もいる。その姿を見ると、とても同じ学校の生徒とは思えない。
1249人の在校生には、それぞれの家庭があり、一人ひとり、色々な事情を抱えています。
でも、私たちにとっては一人ひとりが大切な品女生、全員が「うちの子」です。
私たちが、生徒に一つでも多くの体験をさせたいと新しいことにチャレンジするとき、小さな違反に目を光らせて叱るとき、いつも頭に浮かんでいるのは卒業後の姿です。
6年間は長いようで短い。
卒業式のその後は、私たちの手の届かない所へ行ってしまう。
それまでに、一つでも多くのことを身につけて、周りの人に愛され、人の役に立つことが自分の喜びになるような、充実した人生をおくってほしい。
ちょっと、息切れしていた私に、昨日は何人かの卒業生が連絡をくれました。
「母校の記事を見てうれしい」
「品女時代を思い出し、あのときほど今は充実しているかな?と頑張る気持ちになった」
「品女の6年間があって今の自分がいる」
また、地域の商店街連合会に勤めている卒業生が、後輩にと地域貢献になるコラボの話を持って来てくれました。
この子たちの生徒だったころを思い出すと、「成長したなぁ」とあらためて感じ、元気が出てきました。
ふと、職員室の窓から外に目をやると、神様が色をつけたような夕焼けです。
品女で過ごす6年間。蒔かれた種がすぐに花開く子もいれば、なかなか芽が出てこない子もいます。
でも、一人ひとりの成長を信じて、頑張ります。