2011/8/27 土曜日

大学出張授業(立教大学)

カテゴリー: 授業・学習・進学 — 漆 @ 16:42:30

大学教授出張授業のシリーズです。

担当の江頭から報告です。

講義テーマ「なぜ“ニノ”は“希”なのか―個人差からみる心理学―」
講師 立教大学現代心理学部心理学科 小口孝司教授

人気アイドルグループ「嵐」のメンバーである二宮和也さんが、演技が上手くプライベートでも華やかな交際関係を持っているのはなぜか、という話題を皮切りに始まった講義は、「セルフ・モニタリング」という手法を用いて、人間の心理的特性と人間関係の築き方の関係について考察するというとても興味深い内容でした。

「セルフ・モニタリング」とは、相手を理解する感受性と相手に応じて自己呈示を変える変容性をどの程度持っているのかという自己認知の傾向のことです。

質問紙によってスコアを出します。
そのセルフ・モニタリングのスコアの高低と人間関係(主に異性との関係)の持ち方との関係を考察してみると、色々なことがわかるそうです。

実際に、講義の途中で全員がこの質問に答えてスコアを出してみました。
13の質問に答えて、それぞれの項目のスコアを足してみると、自分が高いタイプか低いタイプかがわかります。

講義では、アメリカで行われた調査データから分かることを教わりました。
それによると、「デート相手の選び方」「一人の人との交際期間」といった数字ではかれることから始まって、「愛の概念の違い」「結婚の選好」や「離婚の理由」といった価値観に至るまで、セルフ・モニタリングのスコアの高い人と低い人では異なる傾向があるのだそうです。

一般に、スコアの高いグループの人は、デートの相手を外見重視で決める傾向が高く、一人の人との交際期間は短めで、結婚相手には一緒に活動することを重視し、離婚の理由も相手の活動や容色の変化を挙げることが多いのだとか。

逆に、スコアの低いグループの人は、デート相手は性格重視で決め、一人の人との交際期間は長く、結婚相手の選好では一緒に活動することよりは一緒にいることを重視し、離婚の理由も相手の価値観や態度の変化を挙げることが多いのだそうです。

変化を好み、外見を重視する恋多き人と安定を求め内面を重視する一途な人、という違いといえば分かりやすいでしょうか。

どちらがいい、というわけではないでしょうが、「一途に自分を大切にしてくれる、セルフ・モニタリングのスコアの低い人」に出会うには、「外見をいくら磨いてもダメですよ、価値観や見識を磨くことの方がそういう男性にとっては魅力的になるはず」という先生の助言を生徒の皆さんはどう受けとめていたでしょうか?

講義の後で、現代の心理学が貢献できることの一つに、今回のセルフ・モニタリングのような適性検査や心理テストという手法があり、これらはマーケティングや企業のサービス部門での活用もされており、企業と共同で調査・観察を行うコラボ授業なども行われていること、なども教えていただきました。

楽しくためになる講義をありがとうございました。