2011/8/23 火曜日

大学出張授業(日本女子大学)

カテゴリー: 授業・学習・進学 — 漆 @ 16:38:30

大学教授出張授業のシリーズです。

担当の瀬戸口から報告です。

日本女子大学 塩崎尚美准教授
心理学「ストレスの自己理解と対処方法」

最初に日本女子大学で学ぶことのできる心理学についてご紹介下さいました。
心理学といってもいろいろな種類があります。動物基礎心理学、社会心理学、認知心理学など。

塩崎先生はそのなかで臨床心理学をご専門とされているそうです。

ここ最近よく聞かれるようになった言葉ですが、社会心理学などとは対照的に「ひとりの人間に対して考えていく」心理学のことです。

まずアンケートのようなものを配られました。
たくさんの質問項目は、高校生用のストレス尺度をはかるためのものです。

これによって分かることは2項目あります。
まず、「ストレスの原因(ストレッサー)」です。大きく分けて「先生」「友人」「進路」「学業」。
そしてそれらが身体や精神にどのような「反応」として表れるかが分かります。
「抑うつ、不安」「イライラ、怒り」「無力感」など。
これらが分かることによって、自分自身のストレスを少しでもよく理解できるようになるそうです。

はたして、毎日忙しくまた悩み多き日々を送る16歳、17歳の生徒たちはこれらのストレスにどのように対処していけばよいのでしょうか。

上記のテスト結果でたとえば同じ種類のストレスを同程度感じていたとします。
しかし、次の項目では違う反応が表れている場合があります。
これは人によって対処法が違うためです。対処法が違うとはどういうことでしょうか。

塩崎先生曰く、それは「ストレッサーをどう見るか」だそうです。
同じストレスでも、適度な刺激と感じ取ればそれはむしろ成長の材料になるのです。
むしろ、適度なストレスが無いと成長しない。
「ストレスは悪者」という一般的な考え方はここで覆されてしまいました。

では、ストレスにどう対処するか。(ここからは特に、大人のみなさんにも聞いてほしかったです。)

まず、ストレスを楽にする考え方に変えること。

・もしかしたら思い込みかもしれない
・たまには○○じゃなくてもいいじゃない
・大丈夫、きっとどうにかできるはず

こう考えることによってだいぶ「楽」になるそうです。完璧主義は身を滅ぼしかねないのです。

そして時には対処法を変えてみることも大切。
ストレスがあまりにも強いときには、何も考えずに避ける、あきらめる、人のせいにするのも1つの方法です。
そして人に助けを求めること。相談したり、教えてもらったり、悩みを聞いてもらったりすることを遠慮してはいけないそうです。
前述の「ストレスが成長につながる」という考え方ですがこれには他人からの援助が大きな助けになるそう。

私は講義対象の高校生とは10歳以上も歳が離れていますが、あまりにも「ほうほう、なるほど」と思うところが多く、うなずきながら聞いていました。
(もっと多くの現代人に聞いてほしかったとすら思いました。)

「ストレスを自分への刺激と感じられる」とおっしゃる塩崎先生自身がとても明るく魅力的な方で、講義内容はより説得力を増して心に響きました。

また、簡単なリラクセーション法も紹介して下さいました。
「身体がほぐれると心もほぐれる」のだそうです。

毎日、遠くから電車で通学し、勉強に部活動に奔走する生徒たちを見ていて、本当に多忙な生活だなと思います。
はたしてこの子たちは、自分の身体の声を聞く時間が持てているのだろうか、と。
「忙しすぎて、気づいた時には身体を壊していた」というのは社会人でも珍しくない話。
これから待ち構える「女性」としての将来を考えた時に、やはり自分の心と身体にいかにして付き合っていくか意識しておいてほしいと思います。
無理しすぎていないか、助けを求めていないか、感知できる能力が人間には本来備わっているはずですから。
これからの人生を笑顔で生き抜くために、大きな手助けとなる講義内容でした。

塩崎先生、貴重な講義を聴かせてくださってありがとうございました。