2011/8/19 金曜日

大学出張授業(東邦大学)

カテゴリー: 授業・学習・進学 — 漆 @ 17:17:24

大学教授出張授業のシリーズです。

担当の住谷から報告です。

東邦大学の富岡由美先生をお招きして、「母性看護学」についてお話しいただきました。「看護学」の授業には4年生9名と5年生6名の計15名が参加しました。

まずは看護学、そして看護学部についてのお話から。
看護学といっても様々な種類があり、その領域は胎児から老人、そして国内から海外まで幅が広いというところから始まりました。

東邦大学看護学部では、看護師の資格は全員取得可能であるものの、助産師と保健師の資格は選択制という名の選抜制でしか取れないそうです。
助産師の資格については、病院の実習にて10人の赤ちゃんを取り上げないと国家試験を受けられないとか!!

そして、看護学部全体として、やはり実習なども多くなかなか大学生活をのんびり遊びながら過ごす、ということは難しいとのこと。

母性看護学、あまり聞き慣れないかもしれませんが、母親としての役割(母性)を獲得するための援助法を学ぶものだそうです。

以前は「母性というものは女性の本能であり、備わっているもの」と考えられていましたが、昨今の虐待事件にもみられるように、本能ではなく、獲得しなくてはならないものと認識されるようになったそうです。

母性の獲得のためには、いくつかの方法があり、「望まない妊娠を避ける、妊娠中に両親学級を通じて教育を受ける、母乳で育てる、思いやりや責任感など人として成熟する、子供を通じて「育ててもらう」(「親になる」)」などがあるそうです。

また、母となる女性だけを対象とするのではなく、女性を取り巻く人々(夫・パートナー・家族・友人・職場など)も含めて考え、さらにパートナーや夫にも父性の獲得を求めているそうです。その例として、かつては妊婦を対象に平日の昼間に行っていた母親学級も、最近では夫も参加する両親学級として、週末に開催しているそうです。

助産師として、看護学の教員として、また1人の母として、先生からは貴重な資料やお話を伺うことができました。中でも近年妊婦健診で使われるようになった、3D映像での動く胎児の様子を見たり、胎児の心拍音を聞いたり、妊娠4ヶ月目と5ヶ月目での子宮及び胎児の大きさの模型を手にすることができたのは生徒たちにとって大きな経験となったと思います。

また、最近の出産の傾向でもあるフリースタイル分娩やカンガルーケア、自宅出産や無痛分娩などについても知ることができ、ドラマなどで見る病院の分娩台で仰向けで息む妊婦しか知らない生徒たちは驚いていました。

最後に、看護士という仕事について、就職は国家資格を持つという抜群の強みがあり、就職率は100%(というより求人の方が多いのでそれ以上!)、そしてこの資格の最大の強みでもある、出産などで数年間のブランクを経ても職場復帰が可能であるというお話がありました。先生自身もご長男を出産した後5年間お休みをしてから復帰されたとのこと。キャリアが100%活かされる仕事であると言うことに、生徒も大きくうなずいていました。

授業後の質疑応答では、自宅出産についてや東邦大学の特徴でもある国際看護学への質問、そして女性の体についての質問がありました。看護学だけでなく、女性として大切なことをたくさん教えていただいた授業だったと思います。授業を拝聴した私自身も、ちょうど1年前に出産を経験した身でありましたので、懐かしさを覚えると同時に、看護師及び助産師の皆さんに出産前から出産後も何度もお世話になっており、その役割の重要性を改めて感じました。富岡先生、ありがとうございました。

なお、いただいた東邦大学のパンフレットの看護学部のページにまさに今、2年生として勉学に励んでいる卒業生が載っていたのもタイムリーでした。