2011/8/21 日曜日

大学出張授業(津田塾大学)

カテゴリー: 授業・学習・進学 — 漆 @ 16:36:39

大学教授出張授業のシリーズです。

担当の黒沢から報告です。

津田塾大学西川賢准教授が「アメリカの大統領を通じて何が見えるか」をテーマに模擬授業を行ってくださいました。

西川先生のご指示で授業開始後すぐに机をわきに寄せて椅子を寄せ合ってできるだけ先生に全員が近寄る形になりました。

ご専門はアメリカ合衆国の研究で、アメリカの大統領について学ぶことを通じて、自分とは異なる国、政治経済、文化、そして人間について深く考えるきっかけをくれるということを説明してくださいました。

まず生徒たちにバラク・オバマ大統領の写真を見せて、「みんなのオバマ大統領の印象は?」という問いかけから始まりました。

「若いのに大統領になった人」「口がうまい」「支持率ダウン」
などの反応がありましたが、先生が最後にもっとも重要なオバマ大統領の特徴として挙げられたのが、「陽気な性格」でした。

「この人本当によく笑うんです」と先生。次々にオバマ大統領の笑顔の写真をスクリーン上に映し出していきました。
「日本の首相は笑わないですよね。これ、アメリカという国を理解するうえで大切なんです」。

ここから、日本の政治家とアメリカの政治家の比較を織り交ぜながら、アメリカ大統領のカリスマ性の要因へと講義が発展していきました。

オバマ大統領は複雑な家庭環境や人種差別など、変化に富んだ人生を送ってきた人で、その豊富な人生経験こそが、彼の人的魅力となっているとのことです。

そこがいわゆる日本のエリートの政治家たちとは違う点であり、アメリカでは「誰でも大統領になれる」という名言があるように、アメリカという国を理解するための重要な手がかりとなるとのこと。

この西川先生の授業を通して、一人のアメリカ大統領の特徴を研究していくことから、アメリカという国の文化、人間から政治問題まで、幅広い理解につながるということがわかったと思います。

国際政治学とは「縦と横のつながり」のある(政治学、社会学など)研究の選択肢が広い分野のため入りやすく研究テーマも見つけやすい分野だと思いました。今回の授業はオバマ大統領という人の人柄や生い立ちを見るにあたり、生徒たちにさまざまなことを考える機会を与えたようです。

その後の質疑応答は時間いっぱい生徒から質問が飛びました。次のアメリカ大統領はだれかという質問、日米関係、民主党の政治、アメリカが後退した後の次にNo.1の国になる国とは、など幅広い質問が出ました。

「面白い質問ですね。こんなふうに、自分の頭で考えて自分の意見を持つということは非常に大切なんです。頑張ってください」と最後に西川先生。本校生徒の積極的な姿勢に先生も大変喜んでおられたようです。
タイムリーな人物を扱った大変わかりやすい異文化理解のための一つの研究例が垣間見られた授業でした。