我が子のやる気のスイッチはどこにある?
昨日の「人によって何でやる気になるかは違う」という話のつづきです。
以前、3回のオリンピックに出て、合計五つのメダルを獲得した選手からお母さんの話を聞いたことがあります。
子どもの頃、試合で負けて帰ってくると、お母さんは慰めることなく
「何で負けたんや~(関西弁)」と厳しく質問。
その問いによって、「負けた、悔しい」という感覚的なものが頭の中で整理され、問題点が浮かび上がり、次はこうしようと具体的な行動に繋がっていったそうです。
いつもお母さんと一緒に悔しがり、喜び、次はあの先輩を抜いて、いついつまでにユースの代表に入って・・・と目標設定し、オリンピックまでのビジョンが固まっていったそうです。(そのとき、小学校6年生だったとか)
厳しい世界を長く勝ち抜いていくためには、自分を知り、セルフマネジメントができることが大事とも言っていました。
その土台には、お母さんが、子どもをよく見て、性格を知った上で、やる気のスイッチが入る声かけをしてくれたことがあるのでしょう。
一方、同じ種目で2回のオリンピックに出場し、二つのメダルを取った卒業生の話。
一回目のオリンピックが終わった後、燃え尽きて何も手につかず、もうやめたいとお母さんに伝えたら、
「あっそう、やめるの。だったらお母さん自分のことするから、お迎えなしね。お弁当も自分で作ってね」と言われたそうです。
「親として、頑張る子どもは応援するけど、やるやらないを決めるのは子どもの問題」というスタンス。
彼女の場合、そのおかげで、親の期待が心の負担になることなく、ゆっくり充電し、次の目標へと向かうことができたのでしょう。
もう一つ。
昨夜、ある勉強会で、世界の要人の同時通訳をしている方のお話を聞きました。
私が学校の教員だと分かると、お嬢さんについてこんなお話をしてくださいました。
「うちの子は勉強ができなくて何度も学校に呼ばれました。私は自分は勉強ができたから、どうしてこんなことが分からないんだろう!とイライラしましたが、その子が、好きなことに出会ったらどんどん自分でやるようになって、今は震災支援の国際プロジェクトを立ち上げたりと、いきいき仕事をしています」
子どものやる気のスイッチがどこで入るかは一人ひとり違います。
親と子どもは違います。
子どもの問題と親の問題も違います。
身内だからこそ、愛情が深いからこそ、親子は距離の取り方が難しいのですが、
中高時代は、親から離れて一人の人間としての人格が形成される時期です。
子どもをよく見て、近づきすぎず、スイッチの入る環境を整えていくことが身近な大人の仕事なのでしょう。