2011/6/11 土曜日

中3 総合学習 オリエンタルランドのホスピタリティー

カテゴリー: 授業・学習・進学 — 漆 @ 13:23:05

今日は雨。校内を回っていましたが、湿気のせいか、すこしだるそうな子もいます。雨期は体調管理をしっかりね。

午後からは5,6年生の保護者会、土曜は校内のいろいろな教室でPTAの集まりがあります。

さて、3年生は校外授業に先駆けて、ホスピタリティーをテーマに、株式会社オリエンタルランド 松野明夫さんに講演していただきました。学年からの報告です。  

震災についての話をして下さる前提に、まず、昭和30年代の航空写真が映し出されました。現在、東京ディズニーリゾートがあるエリアは、このころは全部が海です。 
次に、最新の航空写真を、エリアで色分けして説明して下さいました。

以下、松野さんのお話をまとめました。

タイトル【そこは…海だった】

パーク全域は特にお金をかけて地盤を改良したエリアです。東京ディズニーランドホテル・イクスピアリ・モノレールなどの部分も、地盤を改良してあります。私たちには「パーク内は絶対に安全だ」という自負がありましたし、事実、今回の地震でもパークの中は無傷であり、早く復旧することが出来ました。
(ご存知のように液状化現象が起きた駐車場の部分はありましたが、この部分には建築物はなく、通常の土地改良しかしてありません。一方で地面を補修すればすぐに復旧できることもわかっていました)

私たち(オリエンタルランド)は、次のようなポリシーをもっています。

Safety 安全・安心
Courtesy 礼儀・親切
Show 演出・上演
Efficiency 効率

これは、必ず順番通りでなくてはなりません。安全・安心がないのに、最初に礼儀がきてはいけないということです。

震災当日、パーク内にいたゲストに次のような言葉をいただきました。「地震発生時に、自分たちよりもゲストの危険を第一に防ごうと動く姿に感動しました」・・・、これは私たちの誇りです。
「キャストがずっと笑顔でいてくれた」ということもお客さんの安心のひとつでした。
震災当日は、とても寒く、雨も降り出してきました。でも、お客さんを建物に入れません。そのうちどこからか、雨具や防寒具が〈大量に〉出てきて、ゲストに配られていました。
この間に、私たちは全ての建物が大丈夫か、という『安心・安全』の確認をしていたのです。
「キャストの一人が『私たちはここに住んでいるから大丈夫です』と笑顔で言った言葉に勇気づけられた」というゲストの声を聞きました。
このような対応はショーを意識したもので非常に高度な対応だと思います。
 
このようなときのために、日頃から訓練をしており、キャストも対応がすぐにできました。
ホスピタリティを発揮するには、「こういうときにどう行動したらいいのかわかっていること、それを訓練していること」がとても重要だと思います。
キャストは、ゲストは毎日違うので、ゲストと会うその瞬間を大切にすること、また「いらっしゃいませ」と言わず「こんにちは」と言う対話を重視しています。そして駐車場からゲストを笑顔で手を振って送り出すことが、最後の一番大事な仕事と思っています。
「毎日が初演である」とは、ウォルト・ディズニーの言葉です。これは、茶道の「一期一会」と通じる、ホスピタリティの原点です。(ウォルト・ディズニーは、茶道や東洋の思想を研究していたと聞いています)準備も大切ですが、工夫やトレーニングを積み上げることで、自信や誇りが生まれます。
 
さて、皆さんに今回の研究テーマのヒントをいくつか提示しましょう。
まず、「スポンサー企業のサイン」を探してみて下さい。パーク内にたくさんあるのですが、気づいたことがありますか?とてもたくさんあるのに、テーマ性をこわさないようにするため、目立たないようにデザインされています。
それから、ビジュアル・イントルージョン。これは、視覚侵入のことです。パークは夢の世界なので、現実のものが見えないようになっています。
(写真を見ながら)ここからこの方向を見ると、この大きなビルがアトラクションの後ろに見えるはずなのに、実際は見えません。見えないようにつくってあるのです。こちら側には、ディズニーランドホテルがあり、これはばっちり見えます。これは「見えていい、見えた方がいい」ようにワールドバザールの建物と共通の世界観である、ビクトリア王朝風のデザインでつくられているからです。
このように、見えていいところもあるので、探してみましょう!

(この後、門外不出の様々なプランを特別に見せてもらいました。目標は「夢のあるものを作る」。中には、島をまるごと使ってテーマパークをつくるなんていうのも…。
松野さんを含めて社員の皆様が楽しんで考えたということですが、それぞれすべてが「超」本格的なもので驚きました!)

このように、私たちは常に夢をもって働いています。役員も従業員も、皆夢を持っているのです。
皆さんのような学生さんはわからないかもしれないけれど、人に楽しんで頂くためには、やはり働く側も『夢をもってやらなきゃ』と思っています。